国内

若年女性へのボディタッチは恐怖でしかない、のが現代だ

東京五輪ソフトボール日本代表選手の金メダルをかじったことについて、謝罪文を読み上げる河村たかし名古屋市長(時事通信フォト)

東京五輪ソフトボール日本代表選手の金メダルをかじったことについて、謝罪文を読み上げる河村たかし名古屋市長(時事通信フォト)

「お互いの行き違いがあっただけ」「親しみの気持ちをこめただけ」などの言い回しは、ハラスメント行為の加害者がよく使う言い分けだ。残念ながら、この言い分けが通用した時代が少し前にあり、いまだにその当時の言動を続けている人たちがいる。その一人だと目される河村たかし名古屋市長の金メダル齧りやセクハラ事件をきっかけに、過去の女性声優へのハラスメント事案が呼び覚まされた。俳人で著作家の日野百草氏が、上位者によるハラスメントが公然と見過ごされた時代を振り返り、もう終わりにしようと呼びかける。

 * * *
「河村は常習犯です。アイドルから声優まで見境なく肩を抱き寄せます」

 筆者のDMに来たファンからの投書、河村たかし市長(72歳)のSKE48に対するセクハラについてだった。2013年1月30日付の報道写真を見る限り、確かに河村市長はSKE48のリーダー(当時)高柳明音さんの肩を抱いて飛び入り参加している。常習犯かはともかく、接触過剰なのは事実のようだ。

「声優もそうです。すみぺとか、みっくとか、被害に遭ってます」

 どちらも人気声優、すみぺは上坂すみれさん、みっくは伊藤美来さんのことだ。筆者の筆によるものではないが『河村たかし・名古屋市長 7年前にも未成年声優への「抱きつきセクハラ」』は「週刊ポスト」でも伝えられている。2014年「世界コスプレサミット」において、当時17歳の伊藤美来さんの肩に手を回し、抱きついた行為だ。上坂すみれさんに関しては2017年の「蒲郡コスプレサミット」とのことで、こちらも複数の目撃談がある。セクハラという点はもちろん、ファンにとっても公然の「許しがたい行為」だった。河村市長、正直いい度胸だと思う。金メダルを齧られた上にセクハラ会話で詰められロイターにまで報じられたソフトボール日本代表後藤希友選手と同様彼女たちもまた、河村市長のセクハラの被害者だった。いくらイベントのお祭り騒ぎとはいえ公人、それも名古屋市という日本有数の自治体の長がすべき行為ではないだろう。

「肩を抱いただけって済ますのはおかしいです」

 当該記事を読んでのDMだそうだが、SNSや匿名掲示板の「それくらいいいじゃないか」という意見に納得できないという。残念ながら、中高年やその上の年代の一部男性には、こうした旧態依然の価値観がいまだはびこっている。どれもマッチョかつ現代の社会規範にアップデートできていない方々の意見であり、それに対して「違う」と声を上げるファンの声のほうが正しい。「相手がどう思っているかにもよる」なんて話はもう通用しないのに。された側は上位者相手ゆえに愛想笑いするしかないし、「なんとも思っていない」とか、「気にしてない」とか言うしかない。ゆえにセクハラは深刻であり、許されない行為なのだ。筆者もかつてそうした光景を何度も見てきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン