【3】デリカD:5(三菱自動車)
ガソリン車の燃費が今よりはるかに悪かった1990年代、ミニバンはディーゼルモデルの花盛りだった。
当時はディーゼルの排出ガス規制が甘かったこともあって、実燃費はガソリン7km/L vs ディーゼル15km/Lといったところだったので、月1000km程度の走行距離でも車両価格差はあっという間に埋まった。とくに地方部ではガソリンのほうが珍しいくらいだった。
そんな乗用ミニバン界で今や唯一のディーゼルモデルとなっているのが三菱自動車の「デリカD:5」。搭載エンジンは2.2リットルターボで最高出力は107kW(145ps)。排気量1リットルあたりのパワーが64psというのは現代のディーゼルエンジンの中ではかなり低いほうで、性能的に見るべきところはない。
だが、このデリカD:5、実際にドライブしてみると低中回転の力感が豊かで、2トン近い車重をモノともせずにグイグイ走る。長距離ドライブを試してみたところ、16km/Lくらいの燃費は出せた。
2019年にはATが6速から8速へと多段化、さらにアイドリングストップ機能が新設されたことで、きつい渋滞の都心でも10km/L台をキープ、流れが良ければ13km/L前後で走ることができた。
ハイブリッドミニバンに比べるとノイズ、バイブレーションは格段に大きいが、ノスタルジックなフィールが好きなユーザーにとってはそれもまた味と感じられることだろう。三菱自動車も今はパワートレインの軸足をPHEV(プラグインハイブリッド)へと急速に移しつつあり、デリカD:5もいつまで売られるかは不透明。“今のうち”モデルのひとつだ。