【2】ランドクルーザー300 (トヨタ自動車)
今年8月2日に発売されたトヨタの大型クロスカントリー4×4「ランドクルーザー300」。このご時世にトヨタは6発ディーゼルを新開発し、旧型「ランドクルーザー200」ではディーゼル未発売だった日本市場にも投入してきた。
この新ディーゼルエンジンは排気量3.3リットルのV型6気筒ツインターボ。性能は最高出力227kW(309ps)、最大トルク700Nm(71.4kgm)と、旧型の4.6リットルV型8気筒自然吸気ガソリン(318ps)に拮抗するパワーを実現している。
このランドクルーザー300のディーゼルをピックアップした理由は何と言ってもエンジンが6気筒であることだ。
今日ではエンジンの騒音、振動を小さくしたり、スピーカーから音を出して不快なノイズ成分を中和するなどの研究が飛躍的に進み、4気筒でも結構ハイレベルな低騒音・低振動エンジンを作れるようになった。ガソリンだと低・中回転までは4発か6発かわからないくらいのものも珍しくない。
だが、ディーゼルは少々事情が異なる。4発エンジンと6発以上のエンジンでは厳然とした差が存在する。進化した4発ディーゼルを滑らかと思っても、6発に乗り換えると「やっぱり全然違う」と、誰もが感じるであろう違いがある。
ディーゼルはガソリンに比べてシリンダー内の爆圧がきわめて高いので、4発と6発での爆発間隔の違いがノイズ、バイブレーションとしてダイレクトに表れる。新鋭の4発より旧式な6発のほうが断然スウィートなフィールというのも普通のことだ。
旧型の海外モデルに設定されていたV8ターボディーゼルとの対比では2気筒減だが、性能的にはパワー、トルクとも新型のほうが上だ。そもそもこのご時世にオールブランニューの乗用6発ディーゼルを出せる技術と余裕の両方を持つ日本メーカーはトヨタ自動車くらい。
車両価格は760~800万円。ガソリンの同等グレードに対して30万円ほど高いが、高所得層にとってはこれも今のうちに味わっておきたいディーゼルモデルと言えよう。