「喫煙OK」と書かれた飲食店の看板(イメージ、時事通信フォト)
「昨年末、著名な先生の講演会を開催することになり、東京・銀座のレストランを会場として抑えたのですが、今時の高級飲食店には喫煙所がありません。先生はヘビースモーカーで、講演の途中でもタバコを咥えているような人。どうするかと悩んだ挙句……」(野田さん)
野田さんがとった手段とは、喫煙可能なレンタカーを借りてきて、レストラン近くのコインパーキングに停め、車を喫煙所代わりに使う、というなんとも奇妙な、でも「これしかない」という方法だった。
「近くに喫煙所が全くない。タクシーもダメですし、もうこれしかないと。先生はブーブー言いながらも車で喫煙されていましたが、2時間の講演で5回以上タバコ休憩をとるもんだから、講演は実質30分ほど。お客さんも理解はしてくれていましたが、タバコのためにそこまでやらなきゃならないの、というのが本音ですよ」(野田さん)
そして間も無く、またタバコの値段が上がるというから、喫煙者は経済的にも追い込まれることにもなる。喫煙者である筆者の周りでも、コロナ禍をきっかけに禁煙に踏み切った人は大勢いて、電子タバコに完全移行した知人も少なくない。健康に影響するだけでなく、金も時間も費やすタバコ。それでも吸いたいという喫煙者の言動は、非喫煙者から見れば奇特としかいえないだろう。
だが、それでも辞めないのが喫煙者。コロナ禍が落ち着けば、また青空の下、喫煙所で大いに紫煙を楽しむことができるのか、2度と元には戻らないのか。コロナにも負けず、値上げにも負けず、喫煙者たちの戦いはまだ続く……のかもしれない。