総理候補5人の資質がわかるレーダーチャート
最下位は野田聖子・幹事長代行
総裁選の最有力候補に浮上した岸田氏(5位)は、党内の期待とは裏腹に、総合点19点(50点満点)で現職の菅首相(21点)を下回った。
「決断力」は、「過去は安倍首相からの禅譲を期待して総裁選出馬ができずに優柔不断と見られていたが、今回は勝敗不明でもいち早く出馬を決断、『岸田は変わった』ことを印象付けた」(泉氏)と高評価(7点)を得たが、他の4項目が低い。特に低評価だったのは「大局観」(1点)だ。
採点者の屋山氏が指摘する。
「岸田はこれまで大局観を語ったことがない。出馬表明会見でも経済重視で、経済重視イコール軽武装という宏池会の伝統に縛られている。アフガニスタンを見ても現在の国際情勢は安全保障を他国に委ねる情勢ではなく、そういう時代に軽武装の思想を引き継いでいるようでは大局観があるようには感じられない」
「政策力」(4点)の評価も厳しい。
「政調会長時代に減収世帯への30万円支給というコロナ対策をまとめたが、公明党の反対で一律10万円支給にひっくり返された。連立与党への根回しが不十分で、落とし所も間違えた」(小林氏)
総合点で最下位(18点)だったのが野田聖子・幹事長代行だ。
「小泉政権時代に郵政民営化に反対して離党を余儀なくされたが、復党後は要職を重ねてきた。出戻り組でも自民党の女性議員にシンパが多く、人を動かす力はある」(野上氏)と「統率力」(5点)や「共感力」(6点)は高いが、「大局観」(0点)や「決断力」(3点)が低い。
「総裁選のたびにあれほど『女性初の総理』を目指すと動いていたのに、今回は音沙汰なし。幹事長代行だから、この先、二階氏の力に頼って総裁選に出ようと計算しているように見える」(泉氏)
「ただ総理・総裁になりたいだけ。女性総理誕生への期待は分からないではないが、誰でもいいというわけではない」(屋山氏)という超辛口の評価もあった。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号