芸能

高田文夫氏 日芸・落研の1年後輩だった森田芳光監督の思い出

深作欣二監督と森田芳光監督の思い出

深作欣二監督と森田芳光監督の思い出

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。深作欣二監督と森田芳光監督についてオリンピックを見ながら書いた原稿と思い出についてつづる。

 * * *
 私の大好きなふたりの映画監督を大リスペクトした渾身本がたて続けに出る。深作欣二と森田芳光である。

 久々のやばいヤクザ映画『孤狼の血 LEVEL2』を見て興奮し、家で一気に『仁義なき戦い』を5本見ていたら「週刊ポスト」でも連載している「春日太一がああ見えてちゃんと責任編集をしますので、深作監督について軽く一本書いてみませんか、オリンピックでも見ながら」と発注が来た。いろんな人がよってたかって書くでおなじみの「KAWADEムック」の例のシリーズだ。文芸別冊として近々出そうだ。私以外はちゃんとした人が深作監督を論じ書いているのでご安心下さい。

 原稿を頼まれてそうかもう10年になるのかとしみじみとしてしまったのが私の青春そのものの森田芳光だ。2011年に61歳という若さと速さでその奇才人生を駆け抜けた森田。私の日芸の1年後輩で「落研」でもしごいた。同じ渋谷生まれという事もあって下町っ子とは違う東京っ子独特のにおいを互いに感じていた。

 そうだ、あれは「立川談志のお別れの会」をホテルでやっている時、取材に来ていた記者達があわてて私の所へ皆な飛んで来て耳元で口々に「森田監督が亡くなりました」。腰を抜かしながら来ていた爆笑問題にその事を伝えた。太田も森田から1本撮らせてもらっていた。若くしてその才能を森田から見抜かれ期待されていたのだ。

 森田のデビュー作は落語家のようなもので青春のような。うまい先輩である私と下手な後輩森田をモデルにしたような尾藤イサオと伊藤克信の名作『の・ようなもの』。

 このあと続々と名作を生み出していく。『家族ゲーム』『メイン・テーマ』『それから』『キッチン』『失楽園』『黒い家』『阿修羅のごとく』『武士の家計簿』。まだまだここに書ききれない程名作がいっぱいある。

 そこで「森田芳光70祭」として奥方であり森田作品のプロデューサーである三沢和子を中心に大プロジェクトが動き出した。森田ひとりのためにこれだけの人間、スタッフが集まって一所懸命やってくれるのだから幸せな男である。

 私も想い出を書いた本は『森田芳光全映画』(リトルモア)、相当濃厚な一冊。宮藤官九郎も寄稿。私も森田も太田も宮藤も春日太一も深作もみーんな「日芸」というのが凄い。

 各地で上映会もあるが生まれ育った渋谷円山町のユーロスペースでは9月10日(金)19時より私、伊藤克信、三沢和子のトークがついた『の・ようなもの』。12月にはコンプリートBlu-rayBOXも出る予定。

イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2021年9月17・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン