ビジネス

クセが強い鉄道ファンも一目置いている?「京急バンカラ伝説」

「撮り鉄」にも人気の京急の対応とは(時事通信フォト)

「撮り鉄」にも人気の京急独自の“対応”とは(時事通信フォト)

 列車などの撮影を愛好する鉄道ファンは「撮り鉄」と呼ばれ、その一部のマナーの悪さが問題となっている。最近では、廃車となる「踊り子号」型の車両を撮影しようと東京・日野市にあるJRの敷地内に立ち入った疑いで、男性2人が書類送検されたことが明らかになった。熱心すぎる鉄道ファンのトラブルは後を絶たず、「撮影の邪魔をされた」「駅員に注意された」という理由で暴力行為に及ぶケースもあり、各社が対応に苦慮しているとされる。

 8月下旬には、大阪府内のJR京都線・岸辺駅で駅員が「撮り鉄」の男に胸ぐらを掴まれるトラブルが発生した。ホームのベンチ上から列車を撮影していた男は「危険だから」と注意されたことに立腹。「調子乗んなよ!」と駅員に掴みかかり恫喝する映像がSNSで拡散された。その後、男は駅員に諭され反省、謝罪したことで、JR西日本側は被害届を出さなかったというが「私が使っている駅なら、男はタダでは済まなかったのではないか」と、都内在住の40代男性は言う。

 彼が通勤で利用しているのは、赤い車体がトレードマークの「京急」。体育会系の社風で知られ、鉄道ファンも一目置く“バンカラ”な駅員・乗務員が多いという。

「駆け込み乗車をすればホームで怒鳴られた上に、車内でもドスの利いた声で“駆け込み乗車はお・や・め・く・だ・さ・い!”と追撃される(苦笑)。発車間際の車掌にしつこく絡んでいた酔っ払いが“危ないから離れろ、ゴルァ!”と一喝されるシーンを目撃したこともあります。最近は女性車掌も増え、幾分マイルドになりましたが‥‥‥」(前出の40代男性)

 京浜工業地帯を走る京急本線沿線には、競馬場や競艇場、競輪場のほか、蒲田や川崎などの歓楽街が点在し、コロナ前はとくに、夕方以降になると酒に酔った客も少なくなかった。もちろん、迷惑客には「毅然とした態度で臨む」のが鉄道各社共通の方針だが、“京急ならでは”のこんなエピソードもある。

「2013年、京急横浜駅構内でキセルをした男が、声をかけた20代の女性駅員に暴行。顔面を殴打された女性駅員が“何をするんですか!”と男を背負い投げし、確保したニュースが話題になりました。柔道の有段者だったようですが、迷惑客を駅員が“返り討ち”にした話は他に聞いたことがない」(鉄道ライター)

 こうしたエピソードが“京急らしさ”のイメージを増幅しているようだ。鉄道各社の「ドア閉まります」の車掌アナウンスが、京急ではその勢いのあまり「ダァッ、シエリイェス!」になる──といったネタにされているのも、バンカライメージが定着しているからだろう。

 京急の体育会系なスタイルを全国に知らしめた“珍事”もあった。『京浜急行スゴすぎ謎学』の著書がある小佐野カゲトシ氏が語る。

「2015年、北品川駅でワイヤレスマイクをホーム下に落としてしまった車掌が、それを拾っている間に駅に置き去りにされるハプニングがありました。取り残された車掌に司令が下した命令は“次の駅まで走れ!”。車掌は700メートル先の次駅まで全力疾走し、5分遅れで無事、運行が再開された。“京急は電車だけでなく車掌の足も速い”と鉄道ファンに賞賛されました」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン