河野氏が総裁選に勝利すれば菅氏も…(時事通信フォト)
逆に離間の計を仕掛ける
「河野が出馬すれば支持するつもりだ」
菅首相は自分の不出馬を表明すると、周辺にそう語って麻生派の河野氏に出馬を促した。
「総理はハンコ廃止などの規制改革やワクチン接種で指示を忠実に実行してきた河野さんを後継首相にすることで、菅改革を受け継がせようとしている」(同前)
コロナ対策や外交で退陣後のレールを敷いているのはそのためだ。
総裁選では、今度は逆に菅首相が2Aの足元に「離間の計」を仕掛ける番だった。
麻生派では幹部の甘利明氏らベテラン組に岸田氏を支持する声が強く、麻生氏も「河野はまだ早い」と出馬を認めていなかったが、菅首相に背中を押された河野氏は出馬に動く。河野氏は連日、麻生氏と会い、9月9日には3時間にわたって会談した。麻生氏は折れ、「出馬は止めないが、支持はしない」という立場から、「やるなら、しっかりやれ」と容認する。
自民党の掟では、派閥領袖の麻生氏のお墨付きを得たことで、河野氏は派内の中堅若手に公然と支持を求めることができるようになった。麻生派は岸田支持のベテラン組と、河野支持の中堅若手に大きな亀裂が入った。
菅首相は麻生氏に一矢報いたのだ。
さらに安倍氏の出身派閥・細田派でも若手の“クーデター”が起きた。
安倍氏は総裁選で無派閥の高市氏を支援しているが、細田派内には派閥を退会した高市氏への反発が強い。そこに福田康夫・元首相の長男で「細田派のプリンス」と呼ばれる達夫氏が派閥談合や長老支配を批判して自民党の当選1~3回生90人が参加する派閥横断的な「党風一新の会」を旗揚げした。
安倍氏の権力基盤とも言える細田派から16人が参加し、大揺れとなっている。「河野支持派」の二階派幹部が語る。
「党風一新の会には、菅グループのガネーシャの会からも4人が参加している。若手を河野支持でまとめ、細田派にも亀裂を促す。菅さんは本気で2A支配の構造を崩壊させようとしている」
そのうえで、菅首相が目指すのは自らの復権だ。
河野氏が総裁選に勝利すれば、国会の首相指名選挙の後、河野内閣の組閣が行なわれる。
新内閣の顔触れが総選挙シフトになるのは間違いない。