井上組長はどうか(時事通信フォト)
追い詰められた井上組長はどう動くのか。
去年8月、山健組が離脱した際にも一部は神戸にそのまま残存している。山口組分裂当時、神戸のスポンサー筋から多額の献金を受けており軍資金もある。報酬を弾めばヒットマン志願の組員も見つかるだろう。
一発逆転を狙って無軌道な事件を起こせば一般人が巻き込まれるかもしれない。が、高山若頭が持病を抱えていることもあり、井上組長は六代目側の主要メンバーの寿命が尽きるのを待って籠城する気ではないか。支配層が一新されれば、山口組が再分裂する可能性もゼロではない。山健組の復帰は暴力団組織の脆さを証明した。親分のパワハラに面従腹背の子分は、報復するチャンスを待ち望んでいる。
「井上組長は、若い衆に道を付けて引退してやるのがせめてもの親心ではないか」(独立団体幹部)
暴力団は「親は絶対」という論理を悪用し、絶対君主制を敷いて好き勝手に若い衆をいじめ抜いてきた。神戸山口組や山健組を襲った自壊は、どの暴力団でも起こり得る。第2の中田組長はいたるところに息を潜めている。
取材・文/鈴木智彦(フリーライター)
※週刊ポスト2021年10月8日号