司忍一覧

【司忍】に関するニュースを集めたページです。

分裂抗争が最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
山口組の分裂抗争がついに終結へ【前編】白昼の住宅街に響いた銃声の意味
 日本最大の暴力団・山口組が分裂してから7年を迎えようとするなか、突如、六代目山口組が敵対勢力、それもトップへの襲撃を始めた。抗争のフェーズが一段階上がり、民間人が恐怖に脅える事態を引き起こしてまで、彼らが狙うものはなにか。暴力団取材の第一人者が深層に迫った。【前後編の前編】 * * * 神戸山口組のトップ・井上邦雄組長は激怒したという。 6月5日午後2時20分、神戸市内の自宅に銃弾が撃ち込まれたからだ。六代目山口組の中核組織・弘道会系のヒットマンは、近くに停まっていた警察車両にもかまわず、ワンボックスカーを玄関前に横付けし、車の屋根に登って住居内部を窺いつつ、合計17発の銃弾を放った。複数の拳銃がなければ短時間にこれだけの銃撃はできない。 実行犯が所持していたのは回転式拳銃だ。マガジンの交換で、立て続けに連射できるオートマチック式とは違い、数発撃ち終わる度に手作業で排莢し、弾丸を詰め直さねばならない。射撃場ならなんなく出来る作業でも、現場は神戸の住宅街である。目撃者もいるだろうし、連続して銃声が響けばすぐ警察が駆けつける。どうみても逮捕覚悟の犯行だった。実行犯はパトロールの警官を振り切り、近くの交番に出頭した。 こうした事件を暴力団たちは「ガラス割り」と呼ぶ。半端な暴力を揶揄する隠語だが、事務所や住居などの立ち回り先を銃撃する器物損壊事件は、後のマスコミ報道とセットになっており、広く報道されて初めて仕事として完結する。かつて人気のない早朝に発砲したため新聞報道されず、翌日、再び銃弾を撃ち込んだ組織もあった。ここまで大胆、かつ執拗に発砲し、大々的に報道されたのだから暴力団社会においては相応に見事な仕事だ。銃器を使った犯行は発射罪などが加重され刑期が重い。今回の場合、軽くみても10年以上の懲役になるだろう。 ガラス割りは単なる脅しに過ぎない。が、銃弾はガラスと同時に、暴力団のメンツにヒビを入れる。やられたら、やりかえさねばヤクザがすたる。報復せずに沈黙するなら、もはや暴力団とはいえないだろう。 六代目山口組の攻撃は立て続けに行なわれた。 翌日6月6日の午後9時50分ごろ、今度は神戸市内にある絆會・織田絆誠代表の自宅に軽乗用車が突っ込んだ。実行犯は六代目山口組関係者とみられている。この犯行もマスコミを利用した公開果たし状と考えれば十分な効果がある。実際、この事件もまたマスコミによって大々的に報道された。連日の犯行で過熱した報道陣は喧嘩を煽り立て、六代目山口組は最小の暴力で最大の効果をあげたことになる。 かつて織田代表は“第三の山口組”と呼ばれた任侠山口組を立ちあげた後、神戸山口組のヒットマンに襲撃され、自宅付近の路上でボディガードを撃ち殺されている。しかし六代目山口組が織田代表を狙って暴力を行使したのは、今回が初めてだった。狙うのは幹部の命 当事者たちはどう考えているのか? 旧知の指定暴力団幹部に2つの事件に関する見解を質問した。「(織田代表宅へ)車が突っ込んだのはともかく、井上組長宅への発砲は道具(拳銃)を使っている以上、誰かが命を落とす可能性はあった。六代目山口組内に事件容認の空気があるはず。それでもがっちりガードされると、なかなか必殺の仕事は実行出来ない。殺せないからガラス割りなのか、最後通告の趣旨だったのかは分からない。手榴弾を持って自爆テロでもすれば殺しも可能だろうが、ヤクザには親と子の建前がある。殺してこいと命令できても、死んでこいとは言えない。これが抗争の最終ラインだろう」 暴力団は上層部の逮捕を回避するため、直接の指示を仰がず、傘下団体が勝手に抗争事件を起こす建前を崩さない。しかし実際は上層部が黙認しており、その心情を忖度して若い衆が走る。子分たちは暴力事件の実行犯を担って体を懸ける(※襲撃して逃亡、もしくは服役すること。反撃を受け、負傷や命を落とすことの2つのケースを指す)が、親分は教唆での逮捕を覚悟し、腹を括れるかで我が身を懸ける。組織が武闘派たり得るかどうかは、ひとえに上層部の胆力に依存する。 これまでの経緯を考えれば、六代目山口組が抗争を終結させようと意図し、事件を頻発させているのは間違いない。なかでも弘道会は暴力事件を積み重ね、神戸山口組にプレッシャーをかけ続けている。が、もう丸7年間、身内同士の対立を続けている。これ以上威嚇のような警告を続けても、神戸山口組を追い込めないだろう。今後、抗争が激化する可能性は十分にある。幹部の命を狙った銃撃事件が立て続けに起きてもおかしくはない。鍵を握る井上組長の決断 実際、山口組の分裂抗争は最終局面に突入したようである。六代目山口組・司忍組長との親子盃を反故にして離脱、神戸山口組を結成した面々にとっては正念場だ。なにしろ六代目山口組は、井上組長宅への銃撃をはじめ、引退した組長たちをのぞき、分裂の首謀者すべてに暴力を行使している。 抗争事件は相手を殺し、その仕返しに報復が実行され、暴力的衝突が連鎖する状態を指す。しかし現実的には六代目山口組ばかり事件を起こしており、もう長らく抗争の体をなしていない。あまりに神戸側の報復がないので、六代目側の組員は抗争の渦中にある自覚を持てないだろう。 昨年末、関連施設を相次いで銃撃された神戸山口組の寺岡修若頭(侠友会会長)は、2月、再び六代目側の攻撃を受けた。 5月8日には大阪府豊中市にある宅見組・入江禎組長の自宅に車が突っ込んでいる。2人は神戸山口組の中心メンバーだが、旗揚げ以降、一貫して抗争事件に消極的だ。井上組長を担ぎ上げ、若い衆を巻き込んだ責任があるので、そう簡単に引退はできない。ただし、井上組長が幕引きを決意すれば話は別だ。最後まで組織の行く末を見届ければ、身を引けるだろう。 だから山口組の分裂抗争が終結するかどうかは、ひとえに井上組長の決断に懸かっている。井上組長が組織を解散し、六代目側に詫びれば、おそらく山口組の分裂抗争は終結する。 六代目山口組の司組長は80歳という年齢からは考えられないほどパワフルでも、ナンバー2の高山清司若頭には健康面での不安が拭えない。山口組は創設から100年の節目に分裂し、これまで積み重ねてきた暴力的威嚇力を毀損し続けてきた。彼らが戦っているのはかつての身内であり、分身を叩いているに等しい。ここまで勢力に差が出れば、もはや抗争を継続する意義も薄い。(後編に続く)【プロフィール】鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。フリーライター。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.21 15:58
週刊ポスト
分裂抗争が最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
井上邦雄組長・織田絆誠代表を相次いで襲撃 六代目山口組が待ち望む反撃、そして抗争激化へ
 6月6日午後9時50分ごろ、神戸市内にある指定暴力団・絆會の織田絆誠代表の自宅に軽乗用車が後ろから突っ込んだ。絆會は六代目山口組から分裂した神戸山口組から再分裂した組織で、当初「任侠山口組」と称していたが、現在は「山口組」の看板を下ろし、分裂抗争からも距離を置いていた。なぜ事件は起きたのか、全国紙社会部記者が語る。「ここにきて六代目山口組が敵対勢力、しかも組長・幹部クラスへの襲撃事件を多発させています。5月8日、神戸山口組ナンバー2の入江禎・宅見組組長の自宅に車両特攻が行なわれ、事件前日の6月5日には、神戸山口組トップの井上邦雄組長宅への発砲事件が発生したばかりでした。井上組長宅には10発以上の銃弾が発射されたとみられています。今回の織田代表宅への車両特攻も30代の男が出頭していて、六代目山口組関係者と見て取り調べを進めています」 2017年9月、神戸側は織田代表の乗った車を襲撃し、白昼堂々ボディガードを射殺している。一方で、六代目側は絆會側と組員同士の抗争こそあれど、織田代表を狙った抗争事件は今回が初めてだった。暴力団に詳しいフリーライターの鈴木智彦氏が六代目側の行動を分析する。「暴力団組員は上層部の意思を忖度して動きます。裁判で教唆にならないよう明確な指示はしませんが、抗争になれば上が黙認しない暴力事件などあり得ません。六代目山口組の中に、絆會に制裁を加えよという空気があるから事件が起きた。それは間違いない。軽自動車をバックで突っ込ませた程度では、門扉が破損する程度の損害しかなく、実質的な制裁としての効果はほぼゼロです。 しかし、絆會が敵であり、神戸山口組と同様の裏切り者で、『山口組』の看板を下ろしても許すつもりはないという意思表示にはなる。彼らはこうしてマスコミが大々的に報道するのも計算し、事件を起こしています。六代目山口組は今年3月から神戸山口組から離脱した池田組への襲撃を再開していた。6月1日に六代目山口組側から『池田組には手を出すな』という緊急通達が出て、一時休戦になっています。六代目山口組は池田組を解散に追い込んで、抗争終結に繋げたいのでしょう。絆會はその池田組と共同戦線を張っている。絆會トップが攻撃されたのだから、池田組への圧力は続いているとみていい」 今年の8月で分裂抗争から丸7年が経つ。警察庁の調査によると、2021年末での構成員と準構成員の合計は六代目山口組が8500人、神戸山口組は1000人、絆會は230人。人数の差は大きいものの、いずれの組も資金力はあると見られている。依然、今回の六代目山口組の襲撃に対して、報復を起こす能力はあるだろう。「六代目山口組が挑発のような小競り合いを繰り返すのは、相手のメンツを潰すことで反撃を誘っているのかもしれません。六代目山口組としては、あえて反撃を受けることで、さらなる襲撃事件を起こしやすくなる。実行犯が逮捕されても、個人的な怨恨だったと主張できるからです。暴力団が恐れているのは警察の捜査が上層部に及ぶこと。六代目山口組もトップの司忍組長や高山清司若頭が逮捕されるような事態は絶対に回避したい。そのためには山口組のために動いたのではなく、個人的な恨みを晴らしたのだという建前が必要になる。今回の一連の襲撃事件で六代目山口組に抗争を継続する強い意思があるのがはっきりした以上、今後、銃撃事件が頻発する危険は高いと見ています」(前出・鈴木氏)
2022.06.08 11:00
NEWSポストセブン
分裂抗争が最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
病院発砲事件は「ケーキ片手に発砲事件」の報復か 過激化する山口組分裂抗争
 5月10日午前11時過ぎ、三重県伊賀市内の病院の駐車場で複数発の銃声が鳴り、指定暴力団・絆會の直系組織の谷奥由浩組長が右上腕を粉砕骨折する重傷を負った。絆會は六代目山口組から分裂した神戸山口組から再分裂する形で結成された組織である。2015年の山口組分裂からこれまでも抗争事件は多数発生してきたが、今回の事件は「分裂抗争のステージが変わった」とみられ、不穏な空気が漂っている。 今回の事件の詳細を全国紙社会部記者が語る。「谷奥組長は女性を車で病院に送り届けたあと、車中に1人でいたところを銃撃されています。この病院の周辺には民家が建ち並び、駐車場にも複数の防犯カメラはあったものの、犯人は白昼堂々犯行に及び、現場から途中まで徒歩で逃げている。犯行の一部始終がカメラに映るリスクを顧みないところから強い殺意がうかがえます」 事件から4日後、六代目山口組傘下組織の組員・清水勇介容疑者が千葉県内の警察に出頭し、銃刀法違反の疑いで逮捕された。清水容疑者の逮捕を受け、今回の事件は六代目側からの“報復”だった可能性が指摘されている。「今年1月、茨城県水戸市で六代目山口組の傘下組織の神戸達也若頭が事務所で射殺される事件が起きました。犯人は近くの洋菓子店で購入したケーキを片手に事務所を訪れ、玄関で応対した神戸若頭と揉み合いになった末、射殺しています。犯人はいまだ捕まらず、有力な情報もありませんが、事件前に神戸若頭が所属していた組と絆會との間で組員の引き抜きを巡るトラブルが起きていました。六代目山口組側は神戸若頭射殺を絆會の犯行と考え、報復に出たと見られています」(同前) 絆會は当初、「任侠山口組」と称していたが、「山口組」の看板を下ろしたことで、現在は分裂抗争から一定の距離をとっていると見られていた。「以降、六代目側は神戸山口組側に絞って抗争事件を繰り返してきたが、ここにきて変化が起きています。六代目側は絆會だけでなく、神戸山口組から離脱した池田組にも3月から立て続けに3件の抗争事件を起こしている。両組織に対して、離脱してもターゲットであるという意思表示でしょう。 当然、神戸側に対してはより危険度が高い抗争を起こしている。5月8日、神戸側ナンバー2の入江禎・宅見組長の自宅に車両特攻が行なわれましたが、入江組長を狙った抗争は初めてです。今年の8月で分裂から7年が経ち、司忍組長は80歳、高山清司若頭も今年で75歳になる。抗争終結を急ぐ六代目側が本格的に全方位抗争をしかけたといえるでしょう」(同前) 一方で、六代目側も中核組織である弘道会の傘下組織組長が5月13日、大阪市繁華街のビルとビルの隙間で遺体として発見され、大阪府警は殺人事件として捜査を始めている。犯人はまだ分かっていないが、予断を許さない状況が続いている。 
2022.05.19 16:00
NEWSポストセブン
分裂抗争が最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
神戸山口組幹部自宅に車両突っ込み事件 分裂抗争再燃か、変化する六代目山口組の動き
 山口組分裂から7年が経とうとしているなか、六代目山口組による神戸山口組を狙った抗争事件が多発している。 5月8日未明、大阪府豊中市にある神戸山口組の“ナンバー2”入江禎・宅見組組長自宅に車両が突っ込む事件が発生した。「事件当時、入江組長は在宅していました。深夜だったとはいえ、入江組長宅は高級住宅街にあり、近隣住民が巻き込まれる可能性もあった。警察は逮捕した男を六代目山口組と関係があるとみて捜査しています」(全国紙社会部記者) 照準は神戸山口組の中心組織だった池田組にも向けられている。3月4日に、愛媛県四国中央市の傘下組織事務所に車両特攻、4月22日には宮崎市の傘下組織事務所を襲撃、5月3日には岡山市にある関連施設に車両特攻と、立て続けに3件もの事件が起きた。いずれも六代目山口組側の組員が逮捕されている。フリーライターの鈴木智彦氏が語る。「池田組は2020年7月に神戸山口組から離脱し、独立組織となっています。しかし、7年前の分裂時に六代目側は、池田組の池田孝志組長を分裂の首謀者として『絶縁』処分にしています。六代目側からすれば、離脱したとしてもターゲットであることは変わりないという意思表示でしょう。 抗争とは距離を置いてきた宅見組に対しても、これまでは組員同士の突発的な衝突こそあったものの、六代目側は大がかりな抗争事件を起こしてこなかった。ここにきて分裂抗争に変化が起きていると言えます」 これまでも山口組の分裂抗争で市民は幾度となく恐怖に脅えてきた。2019年11月には兵庫県尼崎市の商店街で、神戸山口組の最高幹部が自動小銃で射殺されたが、事件は人通りの多い夕方に起きた。今回もわずか2か月の間に全国で4件もの抗争事件が起き、予断を許さない状況が続いている。「六代目側は神戸側の組員を復帰させる“切り崩し”による弱体化を狙っていましたが、神戸山口組の井上邦雄組長は持久戦の構えを崩さず、膠着状態が続いていた。今年、六代目山口組の司忍組長は80歳になり、高山清司若頭も75歳になる。時間的猶予もなく、これまで以上に神戸側へ抗争をしかけていくのではないか」(鈴木氏)※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.16 07:00
週刊ポスト
分裂抗争が最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
傘寿の山口組六代目・司忍組長 No.2高山清司若頭に禅譲なら再分裂も
 1月25日、分裂抗争中の六代目山口組の司忍組長が80歳の誕生日を迎えた。この日、警察とマスコミは注意深く六代目山口組の動向を見守っていた。「昨年末、傘寿を迎えるタイミングで司組長が引退を発表し、ナンバー2である高山清司若頭に七代目を禅譲するのではないかといった話が暴力団界隈で出回っていたんです。高山若頭も今年75歳になるため、時期的にもあり得る話だと見られていた」(全国紙社会部記者) 結局、この日、六代目山口組にはそのような動きは確認できず、「情報戦に踊らされた」(同前)と徒労に終わったという。 これまで山口組の代替わりは暴力団社会だけではなく、一般社会にも影響を及ぼしてきた。1984年、竹中正久四代目組長就任に反対した直系組長らが離反し、一和会を結成。その後、市民にも負傷者を出し、暴力団史上最悪の山一抗争が起きた。 ノンフィクション作家の溝口敦氏はこう語る。「司組長の禅譲は近いと見ています。田岡一雄三代目組長から竹中四代目への移行のとき、組内では、“田岡さんが遺言を残しておいてくれさえしたなら、ここまで揉めることはなかった”という声がありました。暴力団の組長は原則、終身制ですが、司組長も高山若頭も高齢であり、禅譲する年齢を決めておかないと揉める原因になると考えているでしょう」 七代目の最有力候補と見られる高山若頭だが、就任には懸念の声もある。「6年半も続く分裂抗争の原因は高山若頭の強権支配にあったと見られていますが、組内にも“反高山派”はいて、その証拠に分裂抗争に参加していない直系組織があります。高山若頭が七代目になると(司組長や高山若頭の出身組織である)弘道会一強体制が続くことになるため、反対する勢力が出てくるでしょう。山口組内で新たな分裂が起きてもおかしくはない」(同前) さらなる抗争の火種が生まれかねない。※週刊ポスト2022年2月11日号
2022.01.31 19:00
週刊ポスト
六代目山口組・司忍組長(時事通信フォト)
山健組の六代目山口組復帰 組長たちが恐れる「子分の報復」
 神戸山口組から飛び出し、独立組織となった五代目山健組が、9月16日、六代目山口組に復帰した。山健組の名跡はそのまま存続し、拘留中の中田浩司組長は「幹部」という役職名のポストを与えられるという。裏切った神戸の中核組織が厚遇されて出戻る。正式決定が出るとあちこちの直参組織幹部から「通達が来た!」とうわずった声で電話がかかってきた。当事者さえ興奮するような、あり得ない珍事なのだ。 中田組長は2019年、ミニバイクに乗車し、単身で弘道会(六代目山口組中核組織)拠点を銃撃、組員に右腕切断の大怪我を負わせた容疑で逮捕されている。有罪なら10~15年程度の長期刑が科されるだろう。「六代目の高山清司若頭は、『ヤクザは力』と考えている。捨て身で向かっていった人間を高く評価する」(六代目山口組と友好関係にある独立組織幹部) 暴力団は1%に満たない武闘派と、虎の威を借り一般人を脅す99%の狐で構成されている。虎を優遇せずに暴力団は存続できない。もちろん山健組の帰参は美談ではない。本質は山口組らしい政治的寝技でもある。内紛に乗じて一方を支援、代理戦争に持ち込んで勢力を拡大する。背景にあるのは親子である神戸山口組の井上邦雄組長と中田組長の確執だ。 元山健組の人間はこう説明する。「高山若頭が府中刑務所を出所し、立て続けに暴力事件が起きても、神戸は反撃できなかった。井上組長は、かつて自分が率いてきた山健組を実行部隊にすると他の神戸山口組幹部に約束していたので、後継者の中田組長に『一刻も早く報復しろ』とプレッシャーをかけ続けていた」 重圧の中、中田組長は自らヒットマンとなって走った。殺しても殺されても、ヤクザとしての人生は終了だ。捨て身の突撃は命懸けの抗議に違いない。いじめの報復やパワハラの腹いせに、自殺で報復するのに似ている。今回の復帰も、井上組長へのさらなる報復と考えれば分かりやすい。自らの手下だった山健組に裏切られ、御輿の担ぎ手に逃げられたばかりか、憎き六代目に出戻られ、井上組長のメンツは丸つぶれだ。 六代目と神戸の勢力にはすでに圧倒的な差が付いている。六代目にすれば、今回の復帰劇は実質的な戦後処理だろう。司忍・六代目山口組組長への裏切りは決して許せないが、暴力団対策法による特定抗争指定を受け、本部や主要な事務所が使用禁止となり、定例会や組行事も満足に出来ない。六代目側も本音を言えばいち早く抗争を終え、日常に復帰したい。司組長は来年の1月に80歳となるし、高山若頭も後期高齢者目前だ。悠長に幕引きを待つ時間はない。神戸が組織を解散するなら、裏切った組長たちに命の保証を与えるなど相応の譲歩はするだろう。 追い詰められた井上組長はどう動くのか。 去年8月、山健組が離脱した際にも一部は神戸にそのまま残存している。山口組分裂当時、神戸のスポンサー筋から多額の献金を受けており軍資金もある。報酬を弾めばヒットマン志願の組員も見つかるだろう。 一発逆転を狙って無軌道な事件を起こせば一般人が巻き込まれるかもしれない。が、高山若頭が持病を抱えていることもあり、井上組長は六代目側の主要メンバーの寿命が尽きるのを待って籠城する気ではないか。支配層が一新されれば、山口組が再分裂する可能性もゼロではない。山健組の復帰は暴力団組織の脆さを証明した。親分のパワハラに面従腹背の子分は、報復するチャンスを待ち望んでいる。「井上組長は、若い衆に道を付けて引退してやるのがせめてもの親心ではないか」(独立団体幹部) 暴力団は「親は絶対」という論理を悪用し、絶対君主制を敷いて好き勝手に若い衆をいじめ抜いてきた。神戸山口組や山健組を襲った自壊は、どの暴力団でも起こり得る。第2の中田組長はいたるところに息を潜めている。取材・文/鈴木智彦(フリーライター)※週刊ポスト2021年10月8日号
2021.09.30 16:00
週刊ポスト
分裂抗争が最終局面に(六代目山口組の司忍組長/時事通信フォト)
ヤクザとコロナ 「親分にうつしたらどう責任をとるか…」と幹部
 1月下旬、六代目山口組と分裂抗争中の神戸山口組系の幹部が亡くなったとの情報が、暴力団社会を駆けめぐった。新型コロナに罹患した60代で、基礎疾患があったというが、組員たちには動揺が広がった。「コロナにかかったヤツは全国の組織にいるが、命を落としたという話は初耳。根拠なく、ヤクザはしぶといと思い込んでいた」(山口組系幹部) 実際のところ、この幹部がコロナ感染により死亡した初めての暴力団員なのかは、警察関係者に聞いてみても確認は取れなかった。 ただ暴力団組織の上層部はどこも高齢化が顕著だ。六代目山口組の司忍組長は79歳、神戸山口組の井上邦雄組長は72歳で、他の組織トップも年齢に大差はなく、ナーバスになっているのは間違いない。末端組員がもしコロナに罹患すれば、上部団体に報告せねばならないだろう。「コロナ対策はしているが、もし親分にうつしたら大事になる。後遺症が残ったり死亡したらどう責任を取るか……指など詰めてもどうにもならない。場合によってはその団体の名跡が消滅しかねない」(同前) 年末の12月13日、西日本の暴力団組織では、正月を先取りした事始式が執り行なわれ、直参組長が勢揃いして親分に挨拶するのが慣例だ。しかし六代目山口組をはじめ、事始式を中止した組織もあった。新たな若い衆が誕生し、盃を結ぶ場合は、盃事のセレモニーをするが、可能な限り回数を減らしているという。「事務所に行く際にマスクをするのは当然。入口では体温チェックもあり、入念に手をアルコール消毒している。オヤジの部屋に入る時はもう一度検温とアルコール消毒を行なう徹底ぶりだ」(関東の老舗博徒一家組員) 二度目の緊急事態宣言以降は、ほとんどの組織で盃や挨拶訪問、幹部会などの会合を中止している。なかには実話誌の“写真映え”を意識してかマスクを着けない幹部もいるが、一方で、ある組織の親分は身の回りの世話をする組員数名と、自宅に“籠城”しているとも聞く。最も感染者の多い東京では、警察署がクラスターになった例もある。「警察署が一番信用できない。何があっても、いま捕まるわけにはいかない。若い衆には、パクられるような下手を打つなと厳命している」 ある組長は深刻な顔でそう話した。 不要不急の外出は可能な限り延期しているが、政治家同様、暴力団は人間関係のパイプで金を稼ぐ。「シノギは会食から生まれる」(指定暴力団二次団体組長)と公言する親分もおり、すべてをストップするわけにもいかないという。 暴力が資本である以上、小競り合いや喧嘩は避けられないが、緊急事態宣言下の抗争は厳禁としている組織が多い。山口組の分裂抗争も実質、休戦状態だ。 ウイルスは銃より強し、か。●鈴木智彦(フリーライター)※週刊ポスト2021年2月12日号
2021.02.04 07:00
週刊ポスト
マスクも抗争材料
ヤクザとマスク 六代目山口組「トラック一杯」配布の破壊力
 4月下旬、六代目山口組が全国の直参組織に大量のマスクを送った。司忍組長名義のプレゼントで、“トラック一杯”に詰め込まれていたという。アベノマスクならぬ「ツカサノマスク」だが、当事者たちは具体的な量やマスクの詳細については口をつぐむ。「高山清司若頭が出所してから、六代目は情報の漏洩を警戒している。細かいことを書かれるのは困る」(六代目山口組関係者)「トラック一杯」という形容は、ヤクザの常套句である。単価の安い商品であっても、トラック一杯分という圧倒的な数量を送れば相手は気圧されるため、彼らは頻繁に度を超した量の贈り物をする。あなたを大事に思っていますと見せかけ、実のところ、自らの力を誇示しているのだ。 新型コロナは山口組の分裂抗争を実質的な休戦に追い込んだ。「いま抗争事件を起こせば、暴力団壊滅運動が盛り上がるかもしれない。これ以上、警察や世論を敵にはできない。法律は破っても自粛ムードには従わざるを得ない」(別の六代目山口組関係者) 六代目山口組は高山若頭の出所と前後して、暴力事件を頻発させ、リスクを承知で攻撃をしかけてきた。その攻勢ムードにコロナで水を差されたわけだが、タダでは転ばないのがヤクザだ。六代目山口組の中核組織では2月頃から全国の直参に声をかけ、大量のマスクを集めていたという。「金を出しても手に入らない商品を大量に所持できるのは組織力があるから。マスクは力の証明になる。対する神戸側は若い衆になんの手当もできず放置している。マスク1つで末端の士気に影響を与える」(同前) マスクの大量配布は、身動きが取れない中で放たれた六代目山口組の“銃弾”と考えていい。その効果は、アベノマスクと違ってかなり大きい。●文/鈴木智彦(フリーライター)※週刊ポスト2020年6月5日号
2020.05.23 16:00
週刊ポスト
ヤクザとマスク、高齢化進み幹部が「コロナでコロリ」を懸念
ヤクザとマスク、高齢化進み幹部が「コロナでコロリ」を懸念
 暴力団のトップクラスは極端な健康志向だ。「喫煙者はほぼおらず事務所は禁煙。飲み歩くこともなく深酒もしない。運動やウォーキングもこなし、早い時間に会食を終える。その後マッサージを呼んで早い時間に就寝する。我ながらなぜヤクザになったのか自問自答する」(指定団体幹部) 2月16日、幹部の兄弟盃に列席するためJR岡山駅に降り立った六代目山口組の司令塔・高山清司若頭は1万円以上もする日の丸入りの超高級マスクを着用。ボディガードたちも全員マスクをしていたことが報じられ、話題となった。「高山若頭は72歳、司忍組長は78歳。抗争中の神戸山口組のトップ・井上邦雄組長は71歳。もはや和解の道はなく、指導者の健康寿命の長さはそのまま組織の命運に直結する」(全国紙記者) 例年、インフルエンザに対する警戒心は強い。面談で咳き込むようでは会ってもらえず、対面取材は強制延期となる。新型コロナウイルスは高齢者や基礎疾患を持っている人が罹患した場合に重篤化することが判明しているので、全国の暴力団が気を揉んでいるのだ。「ヤクザは氷河期でなり手がおらず高齢化している。ほとんどの組織がトップは70、80代だ。刺青や覚せい剤で肝臓疾患が多いこともあって、コロナでコロリと逝くかもしれない。水際対策は組織防衛の最優先課題」(広域団体二次団体総長) 暴力でウイルスには立ち向かえない。しばらくは幹部会や盃事、葬儀が延期、または休止されるなど、より強力な感染症対策がとられるだろう。●鈴木智彦(フリーライター)※週刊ポスト2020年3月20日号
2020.03.09 07:00
週刊ポスト
本家には専属のコーディネーターが?
ヤクザ業界の服装マナー「1年目は紺スーツに白シャツ」
 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回はヤクザ業界のファッション事情を、幹部に直撃。 * * *「LEONファッションですよ」 ヤクザのファッションには流行があるのか?と聞くと、暴力団幹部は開口一番こう答えた。『LEON』といえば“ちょいワルおやじ”というキーワードを世に広めた男性ファッション誌だ。不良っぽくも都会的でセクシーなカッコいい大人のイメージで、イタリア出身のパンツェッタ・ジローラモ氏がイメージキャラクターを務めている。「ヤクザが好むのを『LEON』が載せるのか、『LEON』に載った物をヤクザが身につけるのか、そこはわかりませんけどね」『LEON』にとってはあまりありがたくない話だろうが、どうやらヤクザファッションのトレンドは『LEON』の誌面とリンクしているらしい。 また、ちょいワルはちょいワルでも関西と関東では好みが異なるという。「大阪、名古屋はどちらかというと派手。大阪では少し前まで原色を好み、やたらとブランド物を着ていたけど、コピーも多かった。東京はなるべく目立たないようにが、昔からのヤクザスタイルだ」 関西ならコピー品を手にいれるのはたやすいという。「生野、鶴橋に行けば何でもある。韓国あたりから入れているんだろう」 自分がコピー品を身につけたとしても、人に譲ることは絶対にしないと幹部は話す。「どうせあいつからもらった物だ、きっと偽物だと言われれば、自分の価値を下げることになる。30万もするモンクレールのダウンのA級コピー品が3万円だと言われても買わないね。だってさ、コピーよりユニクロのダウンのほうが断然暖かいんだぜ」 普段は渋めのハイブランドを着こなしているその幹部だが、親分の所に行く時は地味な格好をするという。「親より高い物は着ない。周りにやっかまれるから、おしゃれで派手な格好もしない」 目上と会う時は控えめにというのは、どの業界も変わらないようだ。 山口組では場合によって、制服ならぬ指定のコーディネートがあると話してくれたのは山口組に近い暴力団関係者だ。「不祝儀など義理の時は、黒いスーツに白いワイシャツ。ワイシャツのボタンは白でなければならず、クラリーノみたいな靴と決められている」 関係者曰く“クラリーノみたいな靴”とは、学生が履くようなシンプルな黒の革靴をイメージしてもらえばいいだろうか。「このクラリーノがなかなか難儀でね。大勢が集まると、どれも同じだから自分の靴がどこにあるのかわからなくなる。下足番はいるんだが、会合の時は全員中に入ってしまうから、中座する時など靴を探すのに苦労する。名前を書いておく、赤や青の中敷きを入れておくなどそれぞれ工夫するが、オーダーメードで内側の革を黄色や赤にする者もいる」「直参1年目はさらに制約がある。服装は紺のスーツに白のワイシャツと決められ、ボタンダウンはダメだ」“直参”とは組織のトップから直接盃を受けた者のことで、山口組でいえば“プラチナ”になる。プラチナになったとはいえ、まだ1年目の組長は、集まりや会合となれば指定されたファッションで出向かなければならないのである。「好き勝手するのがヤクザの本分なのに、あれはダメ、これもダメ。あげくには、義理の時の服装まで決められ…」 不平不満はあるようだが、誰もそれを口にはしない。それがヤクザ社会である。 服装に厳しい決まりがある山口組だが、時折メディアで目にする六代目山口組の司忍組長の服装は、ちょいワルファッション以上にインパクトがある。「本家にはコーディネーターがついている。家だけでなく、移動するワゴン車の中にもズラリとスーツを運び入れ、その日に着る物をコーディネーターが決めている」 ネットで検索すると表れるボルサリーノ風の茶色の帽子や首にかけた白の長いマフラーといった独特のファッションは、コーディネーターがチョイスしているのだそうだ。 この“コーディネーター”というのは専門のスタイリストではなく、センスのある組の者が務めているらしい。ちなみに本家がスーツを仕立てているブランド名をいくつか挙げてくれたが、どれも庶民にはそうそう手が出せないイタリアのハイブランドばかりだった。「プラチナの人が集まれば車、服、時計に病院や薬の話ばかり。車は昨今、アルファードのような車が主流。色は黒や白。乗り降りが楽だし、車内が広いからね。人が乗っていれば自分も欲しくなる。人が着ていれば、身につけていればそれが欲しくなる」「いい車に乗って、いい物を着て、いい店で飯を食って、いい女を連れて…。その人みたいになりたいと見た目で憧れる。しゃべり方から何から何までマネてみる。ヤクザの業界は特に、リスペクトしている人のマネから入るのが近道だと考えられている」 だが最近、若い者がマネしたいと憧れるヤクザは減っているという。「昔は憧れるような組長がたくさんいたんだが、今は男がカッコいいと憧れるカリスマ性のあるヤクザが少なくなった。リスペクトされなければ人はついてこない。憧れもないのにわざわざヤクザになろうとする若い者は、今どきいない。半グレのほうがよほど自由で楽に稼げるからね」 暴力団排除条例などでシノギがなくなり稼げなくなったと言われるヤクザ業界は、今や一時の勢いを失い縮小傾向にあるが、人が減っている理由はどうやらそれだけではないらしい。
2020.01.25 16:00
NEWSポストセブン
変化を見せる六代目山口組(写真は司忍六代目山口組・組長)
なぜ任侠山口組は突然「絆會」(きずなかい)に改名したのか?
「3つ山口組」抗争が一つの節目を迎えた。〈代紋及び組織名を【絆會】と改め、新たなる出発をする事と致しました〉 1月12日、任侠山口組が組織の名称を変更したことが明らかになった。〈御通知〉と題した〈絆會総本部〉名義の文面が関係各所に通達されたのだ。 昨年10月、分裂抗争のキーマンとされる六代目山口組・高山清司若頭が出所してから抗争が激化している。尼崎市の商店街の一角で神戸山口組幹部が銃殺され、九州や北海道でも六代目山口組による神戸山口組への傷害事件が発生。抗争拡大を防ぐため、1月7日に兵庫や大阪の6府県の公安委員会が六代目山口組と神戸山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定していた。「これにより大阪市や神戸市など全国10市で“警戒区域”が設定され、区域内にある事務所への立ち入りが禁止されました。さらに、区域内で“おおむね5人以上”の組員で集まることも禁止される。違反すれば3年以下の懲役が下されるため、組織的活動のみならず経済活動(シノギ)も制限されます」(社会部記者) 一方、今回組織名を変えた任侠山口組は特定抗争指定を受けておらず、警戒区域内にある傘下組織の事務所も使用可能だ。「抗争事件を起こしていないどころか、表だった組織的活動も沈静化している。本拠地とされる尼崎市内の2つの事務所が住民訴訟で使用禁止となっていることもありますが……昨年12月に新年を祝う事始式こそ行ないましたが、8か月ぶりの組行事でした」(同前) 全面抗争の渦中にある2つの組織とは対照的な道を歩んでいた最中の改称。フリーライターの鈴木智彦氏はヤクザ界における1つの時代の終わりを指摘する。「これまで“山口組”というブランドがあればヤクザは食べていけると言われていた。しかし、暴対法や暴排条例により、組員は生存権すら脅かされているのが実情です。強大な組織力を持つ六代目と神戸とは違い、確固たる地盤を持たず、構成員も400人ほどの任侠山口組にとって特定抗争指定暴力団に指定されることは文字通り死活問題になりかねない。組織として残るため、誇りとしてきた“山口組”という看板を下ろしたのではないか」 新たな局面を迎えた分裂抗争はどこへ向かうのか。※週刊ポスト2020年1月31日号
2020.01.21 11:00
週刊ポスト
山口組総本部に家宅捜索に入る警視庁と静岡県警の捜査員(共同通信社)
ヤクザの安倍政権支持率は26%、「線が弱い、覇気がない」評も
 ヤクザ事情に詳しいフリーライター鈴木智彦氏が山口組を含む現役組員100人にアンケート調査を実施した。3つに分裂した山口組が一触即発の緊張感のなか、質問をぶつける作業はしんどい作業だったというが、聞き取り調査の結果は変わりゆく暴力団の実相を知る手がかりとなるはずだ。 * * *◆Q:安倍政権を支持しますか?はい:26人いいえ:48人どちらともいえない:26人 取材で時折、ヤクザと政治家との相似性を感じることがある。どちらも50代は若造に過ぎず、70代、80代の男たちが欲望を剥き出しに、ドロドロの権力闘争を繰り広げる世界だ(六代目山口組の司忍組長は77歳、高山清司若頭は72歳、神戸山口組の井上邦雄組長は71歳)。 国会中継での“のらりくらり”とした質疑応答も、相手の揚げ足取りを躱し、言葉のほつれを探しあうヤクザの掛け合いに似ている。 昭和の地方都市では、ヤクザと政治家が一卵性双生児として光と影を形作り、地元の実力者として存在していた。ヤクザの親分が政治家に転身する具体例は数々あって、それはどの地域でもありきたりな転身だった。 歴史的背景のためか、暴力団員はおしなべて政治談義が好きである。「ヤクザになっていなければ政治家になりたかった」と公言する親分たちもまた多い。 そんなヤクザたちは、どうやら昔から安倍政権を評価していない。これは以前のアンケートでも同じ傾向だった。「線が弱い。覇気がない。あの迫力では相手を打ち負かせない」(関東独立組織二次団体組長) どうやら安倍首相の政策云々ではなく、押し出しの弱さが気に入らないようだ。●調査・文/鈴木智彦(フリーライター)※週刊ポスト2020年1月3・10日号
2019.12.24 16:00
週刊ポスト
出所直後から抗争が激化、「高山清司・若頭」はどんな人物か
出所直後から抗争が激化、「高山清司・若頭」はどんな人物か
 10月18日に六代目山口組の高山清司若頭が出所してから、堰を切ったように全国で抗争に絡んだ事件が続く。「3つの山口組抗争」のキーマンとされる高山若頭とは、どのような人物なのか。 1947年9月、愛知県津島市生まれ。20歳で弘道会の前身である弘田組傘下の佐々木組の組員となった。ジャーナリストの溝口敦氏は、高山若頭が盃による疑似血縁を絶対視する人物だと説明する。「佐々木康裕・組長はかなりの浪費家でしたが、親を支えるのは子の責務と嫌な顔せずに、すべて補填していた。その献身を知り、若き日の司忍・六代目山口組組長が頼み込んで譲ってもらったほどです。以降、高山若頭の行動原理はいかに“司組長を日本一の組長にするか”になっている」 2005年8月、「司・高山体制」の六代目山口組が発足するが、それまでの山口組では組長と若頭は別の組織から出すのが慣例だった。「内部からは批判の声が上がりましたが、これを高山若頭は“恐怖政治”で抑え込んだ。事あるごとに、若頭補佐の幹部たちを直立不動にさせ、有無を言わさず怒鳴りつけたといわれています。また、傘下組織に毎月数百万円も日用品を買わせ金銭的にも締め上げた。 さらに、徹底的な“信賞必罰”で組運営を行なってきた。司組長が収監されていた2008年10月には後藤忠政・後藤組組長がゴルフコンペで定例会を欠席したことが分かると除籍を決めた。決定を下した高山若頭ら執行部を批判する“連判状”に名前を書いた13人の直参組長全員にも有無を言わさず、絶縁、除籍、謹慎の処分を下している」(溝口氏) 2010年11月に恐喝容疑で逮捕され、2014年6月に実刑が確定、収監される。そのわずか1年後の2015年8月に山口組は分裂、2017年4月には再分裂し、以降今日まで3つの山口組が併存している。「司組長は敵対組織に融和や切り崩しといった温厚路線を取ってきたが、高山若頭は出所後、弘道会の若頭に武闘派で知られる野内正博・野内組組長を昇進させ、組の空気を変えました。これまでは殺人教唆による逮捕を恐れて、トップが命令を下しにくかったが、功を求めて直参組長らが自発的に行動するようになる。 対して、警察は年内にも特定抗争指定暴力団に指定する方針です。そうなれば5人以上で集まるだけで逮捕されるため、司組長、高山若頭がどう対応に動くか、さらに注目が集まる」(ジャーナリスト・伊藤博敏氏)※週刊ポスト2019年12月20・27日号
2019.12.13 16:00
週刊ポスト
溝口敦氏(左)と鈴木智彦氏
口座持てぬヤクザ組長たち 自宅から現金2億円盗まれた例も
 高齢化が進む日本だが、それはヤクザも同じ。山口組分裂抗争に関連して世間を騒がせた2つの出来事──対立する神戸山口組組員2人を六代目山口組組員が射殺した事件、その六代目山口組のナンバー2にして“抗争最大のキーマン”とされる高山清司若頭の出所、奇しくもその2人が、68歳と72歳という高齢者であった。 ヤクザに“穏やかな老後”はあり得ないのか。共著『教養としてのヤクザ』(小学館新書)が話題を呼ぶ溝口敦氏と鈴木智彦氏の2人が語り合った。鈴木:組長クラスになると、途端にスケールが変わります。映画『仁義なき戦い』のモデルになった美能幸三(広島県呉市の美能組初代組長)は、「引退するときにコレだけあったら足りる」と5本指を立てたそうです。5000万円かと思ったら、5億円だと。『週刊サンケイ』の原作連載担当者から聞きました。溝口:今でも組長クラスなら億単位は貯めておかないと老後が不安、という気持ちでしょう。鈴木:年金はないし、月100万円くらい使う暮らしは維持したい。しかも銀行に預けられないから、みんなキャッシュですもんね。溝口:だから年を取ったヤクザの家にはよく泥棒が入る。北星会会長だった岡村吾一が92歳で死ぬ前年、自宅から現金2億円が盗まれたという事件が起きました。1トンもある金庫が丸ごと持ち出された。鈴木:金庫を盗まれるのってヤクザ社会では珍しい話じゃないんです。そういうことが怖いから、年を取ってもカタギには戻れない。溝口:組長は原則、終身です。五代目山口組組長の渡辺芳則のように、下から強制的に引退に追い込まれない限りは退かない。三代目山口組の若頭補佐で「山口組の金庫番」と言われた小田秀臣は、竹中正久四代目の襲名に反対しながら引退の道を選びますが、引退後に会ったら「金を借りた奴も引退したら返さなくなる」とこぼしていました。彼はそれでも金はあったようですが、引退後に元組員たちから金をせびられるケースも多い。だから引退したくてもできない。鈴木:きれいな引退なんてなかなかないですからね。今、六代目山口組の司忍組長が、七代目の跡目を出所したばかりの高山清司若頭に譲るかどうかが注目されています。お互い77歳と72歳で高齢ですから。溝口:私は高山が刑務所に収監される前に、「出所したら七代目を禅譲する」という密約が司との間で交わされていた可能性が高いと見ています。それを反故にすることになれば、今度は司派と高山で割れる危険性がある。鈴木:ヤクザに悠々自適な隠居生活は難しいということですね。【プロフィール】◆すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。◆みぞぐち・あつし/1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』『さらば! サラリーマン』など。※週刊ポスト2019年11月29日号
2019.11.22 16:00
週刊ポスト
溝口敦氏(左)と鈴木智彦氏
刑務所がヤクザの老人ホーム化 わざと捕まる高齢ヤクザも
 日本社会の抱える高齢化が、最も進んでいるのがヤクザかもしれない。山口組分裂抗争に関連して世間を騒がせた2つの出来事──対立する神戸山口組組員2人を六代目山口組組員が射殺した事件、その六代目山口組のナンバー2にして“抗争最大のキーマン”とされる高山清司若頭の出所、奇しくもその2人が、68歳と72歳という高齢者であった。 ヤクザに“穏やかな老後”はあり得ないのか。共著『教養としてのヤクザ』(小学館新書)が話題を呼ぶ溝口敦氏と鈴木智彦氏の2人が語り合った。鈴木:世間では“68歳のヒットマン”というのが衝撃を与えたようですが、ヤクザ社会では高齢ヒットマンの増加はかねて言われていたことです。溝口:そうですね。その意味では年齢に意外性があったわけではない。鈴木:抗争で相手の組員を殺して懲役に行くことを“ジギリをかける”と言うんですが、かつては若い頃に組のためにジギリをかけて15年か20年の刑期を勤め上げて40代で出所、それから幹部に取り立てられるのがヤクザの出世コースでした。 ところが今は抗争で人を殺した場合、1人殺害でも無期懲役になってしまう。こうなると暴力団員としては先がないので、若い組員には行かせられません。だからこそ、年を取った組員に白羽の矢が立つわけです。溝口:ただし、何も無理やりやらされるわけではない。自ら志望して行くんです。食うや食わずの高齢ヤクザにとっては、懲役に行けば刑務所で少なくとも衣食住は保障される。老人ホーム代わりと言ってもいいかもしれません。鈴木:刑務所は、ヤクザにとっての最後のセーフティネットですからね。溝口:ヒットマンみたいな大それたことでなくても、困ったら無銭飲食とかでわざと捕まる高齢ヤクザもいますからね。ましてジギリをかけた場合は、自分だけでなく、その後ずっと妻や子供、孫の面倒まで見てくれる組がある。68歳のヒットマンが傘下にいた六代目山口組の中核団体である弘道会(司忍組長の出身母体)がそうです。鈴木:自分が生涯で稼げる以上のことを家族にしてくれる保証があるから懲役に行けるんです。溝口:弘道会は組のために懲役に行った組員の家族への手当てが行き届いている。金はもちろんだけど、例えば子や孫が入学すれば男の子なら自転車を、女の子ならオルガンを贈ってやるとか、そこまで細かくケアする。それは弘道会が、「我々が美味しいご飯を食えているのは、刑務所に行ってくれた組員のお陰だというのを忘れるな」という理念を徹底させているからです。鈴木:そういう方針がある組織では高齢者も体を張る。2011年に九州の抗争で道仁会会長の家に機関銃と二丁拳銃を持って突っ込み、手榴弾を爆発させて逮捕された九州誠道会系の組員は、78歳でした。【プロフィール】◆すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。◆みぞぐち・あつし/1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』『さらば! サラリーマン』など。※週刊ポスト2019年11月29日号
2019.11.20 16:00
週刊ポスト

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