芸能

女優・沢口靖子に魅せられる人たち 三谷幸喜氏が見抜いていた「喜劇性」

沢口靖子の素顔を共演者らが語る(写真/共同通信社)

沢口靖子の素顔を共演者らが語る(写真/共同通信社)

 木曜日の夜にテレビをつけると、ついチャンネルを変えずに観てしまう──。日本一のご長寿サスペンスドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)。主演女優はもちろん沢口靖子だが、ドラマの外でのキャラクターについてはあまり語られてこなかった。一体、彼女は何者なのか。監督、脚本家、共演者らの証言からミステリアスな素顔を解き明かしていく。

誰よりも役を理解している

「私のなかの科学は、人を救うためにのみ存在する」

 こんな一本気な科学者を演じ続けて22年。女優・沢口靖子(56)が改めて脚光を浴びている。

『科捜研の女』では、京都府警科学捜査研究所(科捜研)の法医研究員・榊マリコを熱演。持ち前の正義感と最新科学を駆使し、難事件を解決していくドラマシリーズだ。1999年の放送開始以来、連続ドラマは20シーズン、スペシャル版は12作品が放送された。10月からは新シーズンが放送開始予定で、現行の連続ドラマシリーズでは最長寿記録を誇る。

 シリーズ初の映画作品『科捜研の女─劇場版─』が9月に公開され、興行収入ランキング上位に名を連ねている。世界中で続発した科学者らの不審死の謎を解き、真相に迫るストーリーだが、同作で沢口は初めてのワイヤーアクションに挑むなど話題に事欠かない。

 1984年に「第1回東宝シンデレラ」でグランプリを受賞、同年に映画デビューした沢口。以来40年近く、順風満帆な女優人生を歩んできたように映るが、その素顔はあまり知られていない。

「科捜研」で沢口演じるマリコは真面目を絵に描いたような人物だ。そんな姿が「沢口さんと重なる」と語るのは、劇場版の兼崎涼介監督。

「20年前にこの仕事を始めた時に、初めて見学した現場が『科捜研』で、セット内で鑑定器具を扱う所作を熱心に練習していた沢口さんの姿が印象的でした。沢口さんのすごさは、台本の読み込みの深さにある。演出を変更すると、『台本の流れではこうですよね?』と指摘したうえで、なぜマリコの動きがそうなったのかきちんと理解してから撮影に入ります。

 ただ、単純に“堅い”というわけではありません。回を重ねるにつれて制作側の演出意図を汲んで最近は様々な演技を見せてくれるようになりました」

 複数の脚本家・演出チームが手がける「科捜研」シリーズで、マリコを誰より理解するのは演じる沢口自身だという。彼女が「マリコらしくない」と感じれば、演出や台本が変更されることもある。

「本作でマリコが検死の前に遺体に手を合わせるのは、沢口さんがテレビシリーズの時からずっと大切にしている所作です。また今回の劇場版の台本で、鑑定が上手くいかず“焦燥や怒り”から試験管を床にぶつけて割るというシーンがあったのですが、沢口さんは撮影中に“検査が上手くいかない疑念や驚き”から試験管を『思わず落としてしまう』という演技を提案してきました。結果的にはそれが正解でした。沢口さんと僕らは一緒に作品を作る同志ですが、同じ土俵に立つためには努力が必要だと日々感じさせられます」(兼崎氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト