野党はどうか
独善的な主張もこの党の政治家の体質だ。安住淳・立憲民主党国対委員長は、テレビの報道番組が自民党総裁選一色で野党が埋没してしまったことを、「個別の番組についてチェックさせてもらう」と批判して放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立ても検討する姿勢を示した。
だが、NHK記者出身の安住氏はかつて自民党若手議員が報道圧力発言をした時、「マスコミをコントロールできると思っていること自体が常識がない」と厳しく批判していたのだ。
「安住氏とは元同僚ですが、彼は昔から弁は立つが官僚や嫌いな議員には威圧的。部会に官僚を呼んだときも『お前らは税金で食っているくせに』と高飛車な言い方をしていた。政治というのは、もっと度量をもって相手に対峙しなければならない。それができない政治家は、国民とも向き合えないのではないか」(前出・木下氏)
そのくせ、安住氏は野田内閣の財務大臣として消費税増税方針を決めた責任者でもあるが、枝野氏が打ち出した消費税減税方針には「個人としては複雑な心境だ」と言うだけで方針転換を国民に説明しようとはしない。
独善的で国民に正しく向き合うことができない。そうした体質を抜本的に改めない限り、政権の受け皿にはなれない。
不祥事議員を受け入れ
野党への期待が低いのは国民民主党代表の玉木雄一郎氏の責任も重い。立憲民主党との合流を拒否したのはまだしも、「場合によっては与党とも連携し政策を実現していく」と自民党との連携に意欲をにじませた。
「今の政権のおかしなところを厳しく指摘し、対案を示しながら選挙を戦っていきたいので、連立については考えていない」
と表向き連立参加は否定しているものの、自民党の岸田文雄・新総裁が掲げた政策を「方向性は一致している」と評価している。
「自民党が選挙で議席を減らすのを見込んで、そのときは手を組みたいんだろう」(二階派幹部)と見られている。
そのうえ、国民民主党は緊急事態宣言下のセクシーキャバクラ通いで立憲民主党を除籍処分になった高井崇司・代議士を会派に受け入れている。
不祥事議員に甘く、与党から補完勢力と見られている野党に存在意義はない。
※週刊ポスト2021年10月15・22日号