芸能

岩崎宏美『スタ誕』決戦大会で「お願いします」まで言えなかった思い出

岩崎宏美『スター誕生!』の思い出は?

岩崎宏美『スター誕生!』の思い出は?

 この10月で放送開始から50周年を迎えた伝説のオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ系、1971~1983年)。1974年8月11日放送の第11回決戦大会で8社のスカウトを受け、1975年4月にデビューした岩崎宏美に、当時の思い出を聞いた。

 * * *
 歌手を志したのは『スター誕生!』から同い年の森昌子ちゃんがデビューしたのを観て、刺激を受けたことがきっかけでした。私はその頃、『スタ誕』の審査員をされていた松田トシ先生に歌を習っていたので、まず先生に相談したんですね。そうしたら「受けるのはいいけど、何を歌うの?」と。それで小林麻美さんの『初恋のメロディー』や小坂明子さんの『あなた』など、意中の歌を3曲ほど挙げましたら「あなたの声には小坂さんの歌が合うと思う」とおっしゃったので、『あなた』でエントリーしたわけです。

 予選会に参加したのは15歳、中学3年の時でした。運よくテレビ予選、決戦大会に進むことができましたが、印象に残っているのはテレビ予選の後に受けた美容レッスン。決戦大会は指導員の方に指定された衣装を着て、髪にはパーマをかけて出場しました。普段の私はアイビー系のカジュアルなファッションでしたから、真逆でしたね(笑)。

 決戦大会ではスカウトマンの方たちの間で動きが見えたので「もしかしたら歌手になれるかも」と。そう思ったら泣きそうになって、「どうぞよろしくお願いします」と言いたかったのに「どうぞよろしく」で言葉が切れてしまいました。8社のプラカードが上がった時の喜びは忘れられません。

 デビュー曲の『二重唱(デュエット)』は作詞が阿久悠先生で、作曲が筒美京平先生。筒美先生は『スタ誕』の審査員はされていませんでしたけれども、私は第11回決戦大会でグランドチャンピオンになれたので、外部作家にお願いすることができたと聞いています。

 デビューしてからの『スタ誕』は新曲をいち早くお披露目する番組となりましたが、そのために歌詞を間違えることもありました。阿久先生から「忙しいのはわかるが、NGを出すことを習慣にしてはいけないよ」と叱られた時はショックでしたが、どこかクラブ活動的な感覚だった私にプロの厳しさを教えてくださったのだと思います。

 振り返ると、私はいい時代にチャンスをいただけた。素人の想いを番組がちゃんと受け止めて、それぞれの個性を生かしながらプッシュしてくれたからこそ、46年も歌い続けてこられたのだと感謝しています。

【プロフィール】
岩崎宏美(いわさき・ひろみ)/1958年生まれ、東京都出身。1975年のデビュー以来、『聖母たちのララバイ』などヒットを連発。10月20日にアルバム『筒美京平シングルズ&フェイバリッツ』をリリースする。

取材・文/濱口英樹

※週刊ポスト2021年10月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン