2019年、日本はIWCからの脱退を表明し、日本の沿岸・沖合で商業捕鯨を再開する。
「商業」から「調査」を経て、再び「商業」へ。阿部の捕鯨人生は、時代の荒波に揉まれるかのような流転を繰り返した。
「でも、我々乗組員は、商業でも調査でも、南極海でも日本の沖合でも、いままでと同じように、必死にやるだけです。いま、若い乗組員たちも、捕鯨という仕事にやりがいと誇りを持ってくれているんですよ」
昭和、平成、そして、令和。3つの時代で、海原にクジラを追い求め続けた阿部は、笑った。
「いつのまにか、自分の人生と捕鯨が一体になってしまいました」