「頭蓋底髄膜腫はナビゲーション併用の術中画像診断装置を利用し、開頭手術と神経内視鏡か経鼻内視鏡を組み合わせて後遺症を起こさないように配慮しながら摘出します。髄膜腫は比較的血行が豊富な腫瘍なので、術中の出血を避けるため術前にカテーテルによる腫瘍血管塞栓術を行なうこともあります。
さらに術後の手術痕や引き攣れなどが起こらないよう筋肉、骨膜、頭蓋骨を切開する際、解剖学による合理的な手術方法で開頭します。そうすることで術後の痛みが少なく、見た目も自然な美しい仕上がりになります」(渡邉医師)
近年、脳ドックの普及で、まったく症状のない無症候性髄膜腫が発見されるようになり、若年層でも小さい腫瘍が見つかるようになってきた。ただし、検査により、小さいまま成長しない腫瘍は手術などの必要はない。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年10月29日号