フリーアナウンサー、タレント、司会者……数多くの顔を持つ徳光和夫(80才)が初の自伝 『徳光流生き当たりばったり』(文藝春秋刊)を上梓した。ギャンブル狂としても知られ、書名からも分かるように“いきあたりばったり”に生きてきた徳光に、プロインタビュアーの吉田豪氏が迫る。週刊ポスト2021年10月29日号掲載記事の超ロングバージョンをお届けします。(全4回の第4回)
徳光:給料はほとんどギャンブルに遣ってましたから、いまでもそうですけどね。今日、医者に、尿酸値の数値がちょっと上がったのと、それから血糖値もちょっと高くなっている、これは肥満だ、と。コロナの1年間はわりと家にこもったりなんかして5キロから6キロぐらい太ったんですよ。ごめんなさい、こんな話をするつもりじゃなかったんですけど、痩せようと思いまして、見事に痩せるまではギャンブルも一部自粛。
吉田:お! でも一部なんですね(笑)。
徳光:うん。どういう自粛かといいますと、メインレースだけやるという。いままで1レースから全部やってたわけですから。
吉田:完全自粛はストレスになるだろうし。
徳光:それはかえって体に悪いと思いますので。だからメインレースと、宝くじも前後賞がありますので、11レースがメインだとすると、10レースと12レースぐらいは。
吉田:ちょっと増えてるじゃないですか!
徳光:冗談じゃなくてホントにそう思ってるんですよ。それをやろうかな、と。プロレスだってセミファイナルもあるんだしね。
吉田:ダハハハハ! でも、メインだけって言ったらセミファイナルは入らないですよ!
徳光:セミファイナルは助走ですからあんまり遣わないようにしてメインで勝負するようにしようかな、と。じゃないとですね、一番現実問題としましてはホントに昔の京都の芸者衆とか旦那衆が湯水のごとくって言ってましたけど、僕のなかでは湯水のごとくこぼれていくわけですよ。だって今日も6か所あるわけでしょ、それもやって中央競馬もやる。でも吉田さん、これはある程度、地方自治体、そして国のためにはなってるわけですよ。
吉田:ギャンブルはそれがあるんですよね。
徳光:あるんですよ! そこはちょっとみの(もんた)ちゃんと違うところだと思うね。
吉田:ダハハハハ! 銀座で散財するよりも、何かのためになっているはずだ、と。
徳光:銀座で遊んだほうが人間としてはかなり魅力的にはなったと思います。またあのお姉さんたちも非常に勉強家の人が多いですから、自分の身になり、店の身にはなりますけど、国のためにはあんまりなってないというか。これは屁理屈のようでありますけども、俺は少なからずとも、農林水産業を通して国のためにはなっている。公立の学校の講堂の柱なんかはずいぶん建てたと思うんですよ。
吉田:おそらく、そのはずですよね。
徳光:公営競馬は地方自治体ですから。そういったようなところにすがりつつ、ようやく80を超えたかなっていう人生ですね。
吉田:いままでスマホを持たないようにしてたのは、ある意味正解だったんでしょうね。
徳光:そうなんですよ(笑)。だから一番憎いのはコロナですよね。コロナにならなければ、縁がなかったわけですよ。
吉田:ちなみにコロナ以前、地方競馬は?
徳光:それは前もやってたことはやってたんですけど、買いに行かなきゃならないでしょ? 高知競馬とか佐賀競馬とか買えなかったわけですよ。でも、いまタブレットでどこも簡単に買えちゃうわけですよ。元金はネット銀行に入れるわけですよね、そこの口座から地方競馬用の資金を出して、そこから買っていくというふうになりますと四六時中できるんですよ。朝起きて10時半からだいたい夜の9時近くまで、どこかしらでできてるわけですよ、毎日。それに土日は中央競馬が重なるわけですから、たいへんですよ、指が。
吉田:ダハハハハ! そんなに頑張っていたら、そりゃバスの旅(テレビ朝日系「路線バスで寄り道の旅」)の中で寝ちゃいますよね。しょうがないですよ、忙しいんだもん。