「まあ正直言うと、バスの撮影中もときどきやってますよ」
徳光:まあ正直言うと、バスの撮影中もときどきやってますよ(あっさりと)。でも最近はバスの旅があるとホッとするのは、そんなに競馬ができないなっていうことですよ。
吉田:そんな縛りがあったほうがまだいい。
徳光:仕事があったって、つまり電車の中でもできるわけですからね。だからこれはホントに罪だなっていまになって思うんですよ。
吉田:バスの旅で寝てるときに見る夢も競馬場の夢らしいですよね。「あ、ここは競馬場じゃないのか!」って飛び起きるという。
徳光:情けないよね、ホントに。孫なんかは恥だと思ってるみたいですよね。ギャンブルはいいことはないし、できればされないほうがよろしいと思いますね。唯一、自分のなかですがっておりますのは、これは無駄にはなってないんだということです。そのことを自分に言い聞かせてやってるんです。バスの旅で自分の母校を訪れましたときに、いい講堂ができてるんですよね、俺たちのときなんかなかったような。これどこかしら俺が出してるなとか、そんなような思いで見てましたけどね。すみません、めちゃくちゃですね。
吉田:いやいや、いい話ですよ(笑)。
徳光:いい話じゃないですよ(笑)。ただ、なぜギャンブルかっていいますと、究極は一人になれるっていうことですかね。僕たちの仕事は常にチームでやってるじゃないですか。画面に出るのは私かもしれませんけど、その周辺にはホントに何十人の人がいらっしゃるわけですね。それはどこかしらで気持ちがよそ行きになっていたり、自分自身がさらけ出せるところがないっていうのはありますよね。でもギャンブル場に行きますとホントに一人なわけですよね。周囲の人たちはほとんど、僕も知り合いと行かないですから、一人で。
吉田:周りも勝負に打ち込んでいるから、徳光さんのことを気にしてないわけですよね。
徳光:そうなんですよ。もしかしたら「あいつ来てるなみたいな」ことは思ってくれているかもしれませんが、声をかけられたりなんかもしませんよね。ですから、いまの時代でしたら私はテレビ局はまったく入れないですね。やっぱり1964年というリンピックの前後であったから人も採用するし、テレビもちょうど右肩上がりの絶頂期ですからね。
僕が『ズームイン!!朝!』をやってる頃なんかは、残業手当が記録式だったんですよ、勤務ノートが。たとえば朝の5時半に出社するじゃないですか。そこから月曜日なんかは『紅白歌のベストテン』っていう歌番組をやってましたので、そうすると終わるのが夜 10時ぐらいですよね。そういったようなことが1週間に2回あったりで残業が300時間ぐらいになっちゃって。そうすると基本給の3倍ぐらいになっちゃうんです。青天井でしたから。
吉田:しかも、徳光さんは仕事中に抜け出して遊びに行ったりしてたんですもんね。
徳光:しかも抜けて稼いでましたから。『ズームイン!!朝!』が終わってすぐに駆けつけますと、競艇場で1レースが始まる前のセレモニーがあるわけですよ。たとえば笹川記念大会なんかですと48選手が入場して、その司会を頼まれたりするんですけど、これはこれでまた結構お金になったんですよ。
吉田:生放送の直後にバイト(笑)。
徳光:バイトです。そっちのほうにむしろ力を入れてたから(笑)。