国内

総選挙で大躍進の維新 改憲論議リードし参院選でさらなる飛躍狙う戦略

国政への発言力を強めている「日本維新の会」(写真/共同通信社)

国政への発言力を強めている「日本維新の会」(写真/共同通信社)

 総選挙で大躍進した「日本維新の会」。拠点の大阪では岸田自民党と戦った15選挙区で全勝、比例代表は全国11ブロックすべてで議席を獲得して、前回より4倍増の衆院41議席で公明党を抜き国政第3党にのし上がった。

 この選挙で名実ともに「維新の顔」となったのが副代表の吉村洋文・大阪府知事だ。いまや「岸田文雄・首相が最も恐れる男」と言っていい。

 その吉村氏は、維新が国政への発言力を強めると、早速、与党に“揺さぶり”をかけている。

「所得関係なしに18歳以下だから全員に配るというのは何を目的としているのか分からない。(子供3人の)僕だって30万円もらえますからね」

 公明党が公約した18歳以下に1人10万円を一律給付する案をそう厳しく批判して「所得制限はつけるべき」と主張。国民の間でも一律給付に批判が高まり、困った自公が「年収960万円未満」の所得制限をつけることを決めると、吉村氏はさらに「政策の目的が非常に不明瞭だ。年齢で区切る意味も分からない。バナナのたたき売りだ」と追い打ちをかけた。

 だが、給付金批判は“ジャブ”にすぎない。自民党は総選挙で議席を減らしたが、自公と憲法改正に前向きな維新、国民民主党を加えると衆参で改憲発議に必要な3分の2の議席を上回った。岸田首相は総選挙後の会見(11月1日)で、「党是である改憲に向け、精力的に取り組む」と語ったものの、党内では「リベラル派の総理の本音は改憲に慎重。岸田内閣の優先課題とは考えていない」(岸田派ベテラン)との見方が強い。

 吉村氏はそんな岸田首相の改憲姿勢を「やるやる詐欺」と喝破してこうストレートパンチを浴びせた。

「自民党が本気で腹くくって憲法改正するというなら我々は一緒になってやる。もちろん改憲項目は違うと思うが、自民党はそれはやらないと思う。とくに岸田政権はよりいっそうやらないと。僕はそれが本質だろうと思っているので、ちょっとここは残念な部分なのだが。総理総裁の首飛んででもやるというくらいの腹が自民党にあるかといえばない」(11月2日の記者会見)

 そこで維新は国民民主と“改憲共闘”を組み、「来年の参院選挙までに改正案を固め、参院選と同時に国民投票を実施すべきだ」(松井一郎・維新代表の11月2日の記者会見)とぶち上げた。改憲論議をリードすることで参院選でのさらなる躍進を目指そうというしたたかな戦略であり、改憲に慎重な岸田首相は年末の臨時国会や来年の通常国会で吉村維新に鼻面をつかんで引き回されることになりそうだ。

※週刊ポスト2021年12月3日号

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
国仲涼子が『ちゅらさん』出演当時の思い出を振り返る
国仲涼子が語る“田中好子さんの思い出”と“相撲への愛” 『ちゅらさん』母娘の絆から始まった相撲部屋通い「体があたる時の音がたまらない」
週刊ポスト
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン