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張本勲氏「カーリング女子は掃除上手そう」発言が炎上しなかった理由

炎上発言が実際炎上するかどうかはどこで変わるか(写真は張本勲氏。時事通信フォト)

炎上発言が実際炎上するかどうか、その線引きは(写真は張本勲氏。時事通信フォト)

 インターネットが普及した2000年代以降、加速度的に増えていく炎上騒動だが、実は発生の仕方において大きな変化があったという。ネットニュース編集者として長年、炎上案件をウォッチし続け、『炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史』を上梓した中川淳一郎氏が指摘する。

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 ネットでの情報発信は、一部の人々にとっては莫大な利益をもたらしてくれる。しかし、当然炎上というリスクもあるわけで書き込む内容、動画での発信には注意をしなくてはならない。炎上をした場合、一般人も著名人もその一発で人生が没落することもあり得る。

 2013年に猛威を振るった「バカッター騒動」などはその最たるものである。「バカ」と「ツイッター」を合わせた造語で、愚行をいちいちネットに公開し、炎上し、クレームが殺到する一連の流れのことを指す。

 記念すべき第一弾とされるのは、高知県内のコンビニのアイスクリームのケースに入った男子高校生が炎上し、父親が経営する同店は某コンビニチェーンからフランチャイズ契約を解除された件。東京都内のソバ屋では、バイトの男性が食洗器に入る様子をツイッターに公開し、「不衛生だ!」と炎上。結局同店は廃業となり、経営者はこの男性とその親を訴えた。他にも親の所属先である企業や本人の学校が突き止められ、電凸(電話突撃)が相次ぎ業務妨害のような状態になる例が続出した。

 炎上については、社会正義的に批判する面に加えて、愚行や失言を徹底的に叩くことによる正義感の発露といった面もある。あとは、「人の不幸は蜜の味」で、とにかく常時誰かを炎上させたくなるメンタリティが今の日本のネット空間には存在する。

 炎上させたい人は一斉にスクラムを組んでターゲットを狙い撃ちする。そして、その対象が燃え尽きるまで攻撃を続け、すぐに次のターゲットを定めて攻撃をする。ネットがなかった時代には発生しなかったこの現象だが、とにかく誰かの失言や愚行を日々待ち続け、叩くチャンスを一般人もメディアも虎視眈々と狙い、それで収益を上げたり留飲を下げたりする状態になっている。

 野球解説者の張本勲氏は、レギュラー出演する『サンデーモーニング』(TBS系)で、東京五輪女子ボクシングフェザー級の金メダリスト・入江聖奈に対し「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだ。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って、こんな競技が好きな人がいるんだ」と発言。

 これが大炎上した。東京五輪組織委員会会長だった森喜朗氏が「女性は話が長い」と発言して炎上し、辞任に追い込まれたのと同じように「男の老害が女性差別をしている」といった文脈で捉えられた。張本氏は「今回は言い方を間違えて反省してます。以後、気をつけます」と翌週に謝罪した。以後、張本氏は番組中での昭和男性的発言を封印気味だ。

 同氏の発言はどう考えても頓珍漢ではあるものの、『サンデーモーニング』を毎週見ている人からすれば「はいはい、ハリー(張本氏のこと)がまたバカなこと言ってるね(笑)」的な扱いだったことだろう。とにかく同氏はこのような発言をこの20年ほど続けているのである。

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