スポーツ

1年生左腕・前田悠伍が「大阪桐蔭歴代ナンバーワン投手」になる日

鋭いまなざしが印象的な前田悠伍(撮影/藤岡雅樹)

鋭いまなざしが印象的な前田悠伍(撮影/藤岡雅樹)

 各校の1年生が活躍して盛り上がりを見せた高校野球の秋の神宮大会は、11月25日に決勝が行なわれ、大阪桐蔭が18安打11得点の猛攻で広陵(広島)を下し、優勝を決めた。春夏連覇を2度達成している全国屈指の強豪校である大阪桐蔭だが、秋の神宮大会では初優勝となった。そのチームの「核」となっているのが、驚異の1年生左腕だ。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 夏の甲子園が終わり、新たな“怪物”の誕生を待ち侘びるなかで、この秋、私の視線が釘付けとなったのは、大阪桐蔭で背番号「14」をつけた左腕だった。

 その名は前田悠伍──。滋賀の湖北ボーイズから大阪の常勝軍団にやってきた1年生だ。

 もちろん、同じ1年生ながら既に49本の本塁打を放っている花巻東(岩手)の佐々木麟太郎や九州国際大付(福岡)の大砲・佐倉侠史朗らの豪快な一発は、高校野球ファンならずとも心を躍らされるし、いずれも将来が楽しみな怪物の卵だ。だが、大阪桐蔭の前田は、野球エリートが集まり、数多のプロ野球選手を輩出してきた大阪桐蔭にあっても、歴代ナンバーワンの投手へ育つ逸材ではないか。実際に生で見る度にそうした予感は確信めいたものへと変わっていくのだった。

 初めて前田の投球を目にしたのは、秋季大阪大会の5回戦・大商大堺戦だった。最少失点で9回を投げ、高校入学後初めて完投を記録した。

 修行僧のような表情でマウンドにあがり、プレート上で打者に正対するように仁王立ちしてから、投球動作に入っていく。その日は序盤から帽子が宙を舞うことが度々あり、試合後にその帽子のつばを確認すると「躍動」の2文字と共に、「吠」の文字が書かれていた。ピンチというピンチもなく咆哮するようなシーンはなかったが、確かに躍動感にあふれるピッチングだった。前田は試合をこう振り返っていた。

「帽子が飛んでしまうのは、力が入りすぎている証拠なので、本当は良くないんです。自分の中で、序盤に少し力を入れて投げた時や、ギアを入れた時に飛んでしまいました。フォームで大事にしているのは体重移動。体重が前に乗らないと、強い真っ直ぐを投げられない。リリースの瞬間まで力を抜きながら打者方向に体重移動していく。中学時代からフォームは変わっていません」

 投球スタイルの近い横浜DeNAの今永昇太に憧れ、湖北ボーイズの先輩で、大阪桐蔭から巨人に入団した横川凱を目標にし、「最終的にはプロ野球選手になりたい」と話した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

妻とは2015年に結婚した国分太一
「“俺はイジる側” “キツいイジリは愛情の裏返し”という意識を感じた」テレビ局関係者が証言する国分太一の「感覚」
NEWSポストセブン
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?(時事通信フォト)
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?「エンゼルス時代のようなセットポジションからのショートアームが技術的にはベター」とメジャー中継解説者・前田幸長氏
NEWSポストセブン
24時間テレビの募金を不正に着服した日本海テレビ社員の公判が行われた
「募金額をコントロールしたかった」24時間テレビ・チャリティー募金着服男の“身勝手すぎる言い分”「上司に怒られるのも嫌で…」【第2回公判】
NEWSポストセブン
元セクシー女優・早坂ひとみ
元セクシー女優・早坂ひとみがデビュー25周年で再始動「荒れないSNSがあったから、ファンの皆さんにまた会いたいって思えました」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
【スタッフ証言】「DASH村で『やっとだよ』と…」収録現場で目撃した国分太一の意外な側面と、城島・松岡との微妙な関係「“みてみぬふり”をしていたのでは…」《TOKIOが即解散に至った「4年間の積み重ね」》
NEWSポストセブン
衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン