寂聴さんが語った「愛の言葉」
これまで寂聴さん本誌・女性セブンに語っていた“愛の言葉”を紹介する。
──別れについて
「結局、生まれたら死ぬんだから、死ぬために生まれてきて、別れるために会うんですね。だからやっぱり会うことは死ぬことだから、この頃、人とさよならって言うときに、もしかしたらこれで会えないのかなと思うの。あなたと会っても、さよならって帰ったら、私はあなたの後ろ姿をずうっと見てるんですよ」(2015年12月3日)
──死について
「本当にたくさんの人、親しい人を見送ってしまうと、寂しいっていうんじゃなくて、向こうへ行ったら会えるっていう気がしてきていますね。感覚として、その体が焼けたって、魂は残るんじゃないかなと思います。だって、亡くなった人を突然思い出すの。思い出そうと思わないとき、ふっと思い出すんですよね」(2015年12月3日)
──執筆について
「いつも最後の長篇だと思ってます。だって、いつ死んでも不思議じゃないから、私。年も年だし、周りはどんどん死んでいくでしょ。この長篇が書き上げられたら、それは私の徳だと思って書くんです。いつも、書き終われるかどうか挑戦だと思って仕事を引き受けます」(2017年12月16日)
──女性に対して
「私は女として生まれたからには、子供は1人でも産んだ方がいいと思うのよ。結婚なんかしなくたって構わない、どんな形でもいいから。だって、それは、男にできないことで、女にできるのはそれだけだものね。私はその子をちゃんと育ててない、もう3つぐらいのときに飛び出してますから、ほんとに罰当たりなんですけど、私のときは、女が子供を連れて出たら食べられなかったのね。もう仕方なかったの。だけど、今はもう、みんな子供を連れて離婚してる。時代が変わって、これはよかったと思いましたよ」(2016年4月19日)
──時代状況と戦争について
「戦争の始まる前の昭和16年ぐらいかな、その時代と同じ感じがするのね。そこに軍靴の音がどっどどっどと聞こえてくるような、そういう恐怖感があるんですよ。戦争は絶対にしちゃいけないの。国民のために、天皇陛下のためにとか、いい戦争だって教えられていたのね。でも、世界中の戦争に、いい戦争なんていうのは一つもありません。戦争は人殺しです。絶対にしちゃいけないの」(2016年4月19日)
──がんと告知されたとき
「私は『がんです』って言われて、本当に怖くなかったんですよ。だって、周りがみんながんで死んでますから。人間は若いときにニキビが出るように、年を取ったらがんが出るんだと思ってたの。だからもう、切ってくださいって言って、何ともなかったの」(2015年12月3日)
──90歳を超えた感慨について
「人間はもう90を超しますと、お友達が毎日死ぬんですよ。それはもう、ほんとに寂しいですね。それで、何か病気をしてそうだな、ちょっと電話でもかけようかなって思ったら、もう死んだって知らせが来るの。私が初めて老衰ってことを感じたのは92のとき。この頃は、ああ、年を取ったなって思いますね」(2016年7月25日)