ライフ

瀬戸内寂聴さんが語っていた忘れ得ぬ「愛の言葉」 人生、恋愛、死まで

寂聴さんが語っていた言葉とは?

寂聴さんが語っていた言葉とは?

 享年99。最晩年は数々の病と闘いながら、それでも執筆に命を燃やし続けた瀬戸内寂聴さん。その人生は波瀾万丈だった。20才で結婚するも5年後、夫の教え子と恋に落ち、3才の子供を置いて京都に出奔。小説家を目指した。2度の不倫の末に51才で出家した瀬戸内さんは苦労を厭わず自由に生き、そして不自由を強いられる人たちのために行動し、エールを送り続けた。本誌・女性セブンに語っていた愛の言葉をひもとく。

瀬戸内寂聴さんと佐藤愛子さん

 瀬戸内寂聴さんが亡くなった──訃報に接したときの衝撃は、これまでに感じたことのないものだったと佐藤愛子さん(98才)は話す。

「親しかった遠藤(周作)さんや川上(宗薫)さんが亡くなったときは私も若かったから、そんなに寂寥感はなかったけれど、今回は違った。これまで感じたことがないほどの喪失感に打たれて、その日は何も手につきませんでした。もうこれで、本当に1人きりになったという思いがしています」

 瀬戸内さんは京都、佐藤さんは東京に住んでいることもあり、親しくつきあう間柄ではなかったという佐藤さん。しかし、共通の知り合いが1人亡くなり、2人亡くなっていく中で気持ちに変化が起きていく。

「瀬戸内さんと私が離れ小島のように残ったから、仲間意識が生まれたんだと思います」

 2015年11月15日、佐藤さんが小説『晩鐘』で受賞した紫式部文学賞の贈呈式のために京都府宇治市を訪れ、瀬戸内さんと控室で3年ぶりの再会を果たしたときのこと。2人は顔を見るなり熱い抱擁を交わした。瀬戸内さんは前年9月に見つかった胆のうがんの摘出手術を受け生還したばかり。それは仲間の無事を互いに喜び合うように見えた。

 ごく短い時間だったが、耳が遠くなったという話から、その年の1月に亡くなった作家・河野多惠子さんの話まで、同時代を生きてきたからこその打ち解けた話が続いた。

 瀬戸内さんが「私が1つ年上なのよ」と言ってニヤッと笑うと──。

佐藤「だから、この前の講演会で言ったのよ。冥途に向かう行列の中で、私の前にはまだ瀬戸内さんがいるからって。瀬戸内さんが亡くなったら、私が先頭になって、冥途の風をもろに真っ向から受けることになるんだって言ったら、みんな笑ってたけど」

瀬戸内「いやあ、もう、すぐですよ(笑い)。でも、愛子さん、ほんとに今日は美しいわね。作家っていうのは、不美人がなるものでしたからね。美しい人って、佐多稲子さん、宇野千代さんぐらいだったの。あとはもうみんな、私にCGをかけたようなのばっかりでね」

 今年8月に佐藤さんが刊行したエッセイ集『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』の最後の一編「さようなら、みなさん」を本誌・女性セブン連載時に読んで、「佐藤さんもしんどいのよ。わかるわぁ」と話していたという瀬戸内さん。

 2016年に佐藤さんが上梓した『九十歳。何がめでたい』について電話で感想を伺った際に、瀬戸内さんは「1つ年下」の佐藤さんにこんなエールを送った。

「もうお互い病気って聞いても見舞ったりはできないでしょう。だから愛子さんが書いてくれるのがいちばんうれしい。本でも雑誌でも、彼女の名前が出ていたら必ず読みますから。そうして、ああ、元気だ、元気だって思うんです」

2015年11月15日、宇治で再会した瀬戸内さんと佐藤さん

2015年11月15日、宇治で再会した瀬戸内さんと佐藤さん

関連記事

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン