ドイツで街行くノーメイクの女性。他者の評価や視線を気にせず、媚びることもない“潔さ”を感じさせる(キューリング恵美子氏提供)
「メルケル首相もそうですが、ドイツの女性の多くは、会社に行ったり街を歩いたりする時でも、あまりメイクをしません。その理由の一つは、ドイツ人の『自己肯定感』の高さにあるのではないかと私は思います。
ドイツ人は、自分が好きなもの、自分にとって大切なものを知っています。そして、自分の考えや主張を自信を持って伝えられる人たち、他人に振り回されない『自分軸』を持った人たちなのです。自己肯定感が高いからこそ、『メイクをしたい時はする』『メイクをしたくない時はしない』という、他人に振り回されない生き方ができているのです」(キューリング氏、以下同)
もちろん、すべてのドイツ人女性が普段ノーメイクでいるわけではなく、鮮やかな青いアイシャドウをしていたり、真っ赤な口紅をしていたり、アイラインを太くクッキリ入れていたりと、お気に入りのメイクをしている人もいる。
「ただ、そういったメイクをしている人も、他者への媚びや、社会の常識、会社のルールなどでメイクをしているわけではありません。自分の気分を上げるために、自分が必要だと思うから、自分のためにメイクをしているのです」
意識調査で最下位=日本に対し、ドイツは“トップ”
メイクの例は、あくまでも象徴的なエピソードにすぎない。ドイツ人の自己肯定感の高さを裏づけるデータは他にもある。
たとえば、内閣府が日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7か国の若者(13〜29歳)に、人生観や学校、家庭、国家などについてアンケート調査した結果によれば、「自分自身に満足している」という質問に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた日本人は半分弱で、調査国中で最低だったのに対して、ドイツ人はその2倍近い8割以上で、アメリカ、フランスにほぼ並ぶ数字となっている。