岡本さんが住む広島県は岸田首相のお膝元だ(写真は19年)
「息子はアレルギーすらなかったのに、『ワクチン接種と死亡との因果関係は評価できない』ということで、厚労省は『γ』(ガンマ)であると結論づけました。“因果関係はあるかもしれないけど、データが十分に揃っていないということなのだろう”と思いました。それで現在は、広島大学で『病理検査』をしてもらっています。長男の遺体は火葬しましたが、細胞は取ってあるんです。しかし、結果が出るまで、ものすごく時間がかかるそうです。警察が窓口になっていて、私は直接、病理検査を担当している医者に話を聞くことは不可能。なので警察を通して2週間に1回くらい『まだですか?』と催促していたのですが、最初は『2~3か月はかかります』と言われ、そのうち『1年かかる』、『1~2年かかる』と言われるようになった。いつになったら結果が出るのかは分かりません」
今年2月、田村憲久前厚生労働大臣がワクチン接種の副反応などにより死亡した場合、「国から4420万円の一時金が支払われる」と発表したが、病理検査の結果が出ないことで申請は進んでいないという。
「長男が勤務していた会社から、最新の健康診断書も取り寄せて持って行きました。心電図も含めてどこにも異常はありませんでした。しかし、一時金の申請は市から厚労省に回されるはずなのですが、現在もまだ厚労省に届いておらず、東広島市で止まった状態になっている。市の担当者からは、『この状態で申請しても無理だと思う』『できれば病理検査の結果を待ちたい』というようなことを聞かされました」
最後に岡本さんが「世の中に伝えたい」という切実な想いを語る。
「国は“デメリットよりもメリットのほうが大きい”ということを主張していますが、実際にワクチン接種後に死亡した人はたくさんいる。その事実に目をつむるのはおかしいですよね。推し進めるのであれば、みんなが納得できる『根拠』をしっかり示してほしい。私も元々はワクチン推進派でした。勤めている会社でも、『うちでも職域接種やりましょう』と私が提言したくらいですから。長男にワクチンの接種を勧めたのも私です。
でも今はこんな状況で3回目接種をするのは怖い。もちろん大勢の人たちに対して『ワクチンを打つな』とは言えません。人それぞれの判断ですし、ワクチンがコロナ感染に有効なのは事実でしょう。私は『真実』が知りたい、ただそれだけなんです。岸田文雄首相は同じ広島の人間ですし、期待していたのですが……。もう少しワクチン接種のこと、接種後に苦しむ人たちのケアについても、しっかりやってほしいと思います」
岸田首相は12月6日、所信表明演説で「オミクロン株」への対応のため、3回目のワクチン接種について、「できる限り前倒しする」と表明した。接種については医師と相談の上、それぞれが自ら判断することだが、こうした遺族の声に耳を傾けることも重要ではないか。