スポーツ

蛯名正義氏“競馬場デビュー”は皇帝シンボリルドルフに勝ったあの馬と

1985年10月27日、大観衆が見つめる東京競馬場のパドックでの蛯名正義氏(写真/JRA)

1985年10月27日、大観衆が見つめる東京競馬場のパドックでの蛯名正義氏(写真/JRA)

 1987年の騎手デビューから通算2541勝を記録するなど、国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に“52歳の新人調教師”として再スタートする。蛯名氏による週刊ポスト連載『エビジョー厩舎』から、今回は競馬学校入学から騎手デビューまでの思い出についてお届けする。

 * * *
 今週からはしばらく僕の昔話にお付き合いください。ご一緒に名馬の走りを思い出していただければ幸いです。

 僕は札幌で生まれ育ちましたが「蛯名」というのは青森に多い名前です。1940年から1950年頃に活躍した蛯名武五郎という名騎手も青森の出身でした。ジョッキーになりたかったという祖父は、武五郎さんと「一緒に馬に乗っていた」と言ってました。また「白い逃亡者」と言われたホワイトフォンテンで毎日王冠を勝った蛯名信広騎手(その後調教師)は、祖父の甥にあたります。

 でもウチは競馬一家ということでは全然ありませんでした。父が競馬好きで馬券を買っているぐらい。僕もその影響からか、よく見ていて、いわゆる競馬オタクの子供でした。

 競馬学校の同期は9人ですが、調教師になったのは僕が最初で、おそらく最後です。武豊騎手とはずっとよく会っていたし、3人は調教助手になって競馬サークルに残っています。この世界から離れてしまった人が、どこで何をやっているかはよく分からないけれど、当時はみな仲が良かった。3年間一緒に生活をしたわけですから。

 卒業後は矢野進先生の厩舎にお世話になることになりました。リーディングもとっている名門厩舎で、中山大障害を5回(当時は春と秋にあった)も勝ったバローネターフや、スクラムダイナ、ダイナシュートなど「ダイナ」がつく社台ファームの活躍馬が何頭もいました。

 競馬学校2年の秋から厩舎研修が始まったのですが、行った日がまず函館3歳(現2歳)ステークスを勝ったダイナアクトレスのスタッフが戻ってきた「安着祝い」でした。北海道滞在から帰ってきた馬を見て「これがダイナアクトレスなんだ」と感動したのを覚えています。

 で、その週末が伝統ある大レース天皇賞(秋)。デビューから8連勝で菊花賞を勝って三冠馬になったシンボリルドルフの独壇場になるはずのレースでした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト