SNS時代で変化した男性の「モテたい」ニーズ
――マンダムといえば、古くは1970年代にテレビCMで起用した、俳優のチャールズ・ブロンソンが発した台詞、「う~ん、マンダム」で一世を風靡しました。
西村:当時はどちらかといえば男くさい、ワイルド系の商品イメージでしたが、その後、テレビCMで松田優作さんや本木雅弘さん、木村拓哉さんなどにご出演いただき、時代を経るごとにシンボリックな人も変わってきていて、最近では“中性的な”タレントさんたちの人気が高くなっていきました。
韓国のK-POPが流行るようになったことも時代を映していますね。つれて、男性化粧品もかつてはヘアスタイルやデオドラント関連のケア商品だけだったものが、近年はかなり細分化されています。
そこに至った要因の1つは、デジタル社会が浸透したことでプロでない一般の方でも、SNSに投稿した写真の精度やレベルが高くなったことがあると思います。
デジカメでなくとも、いまはスマホでも高画素で高精細な写真が撮れるので、人から“見られる”という機会が、かつてに比べて格段に多くなりました。そのため、自分の清潔感や身だしなみに気を遣う方が増えているのでしょう。
「近年の男性化粧品はかなり細分化されてきた」と話すマンダムの西村社長
――見られる対象も昔なら異性で、異性からモテたいために、おしゃれをしたり身だしなみに気を配るという動機だったのが、最近は少し違うようですね。
西村:異性からモテたいという意識はいまも昔も根源的にはあるでしょう。ただ、同性からの好感や清潔感を得たいという欲求が、いまの若い男性には、より強くあると思います。異性にモテたいという気持ち以上に、周囲の仲間と馴染んでいたいという意識といってもいいですね。
昔、特にインターネットがまだなかった時代は、学校の部活動であれ遊びに行くのであれ、仲間や友人たちとの交流はほとんどがリアルの場でした。
いまは、デジタル上で友人とつながってはいますけど、たとえばSNSでフォロワーや「いいね!」がたくさんついていたとしても、それは形があるようなないような、どこか曖昧なものじゃないですか。他人から認められる、あるいは一目置かれるとか、そういう状態を、より物理的に欲しているところはあるのかなという気がしています。