情報過多でインフルエンサーの「検索疲れ」も
――若年男性の間では、ヘアスタイリング剤はもちろん、スキンケアもかなり当たり前になってきていますか。
西村:4年ほど前までは、高校生~20代前半の社会人のスキンケア商品の使用率は20%程度だったのですが、現在はだいたい35%くらいの方が使っているというデータがあります。
――スキンケアからさらに一歩進んで、メーキャップに入っていく男性も増えているようですが。
西村:いまや色つきのリップクリームは結構当たり前で、血色のいい唇で人に見てもらいたいという意識がありますね。
ただ、彼らが日々接しているSNSには膨大な情報が洪水のように流れています。そこで自分好みのインフルエンサーを検索して探すわけですが、情報過多でついつい目移りしてしまい、ある種の検索疲れ、比較疲れみたいなもところも見受けられます。
化粧品、あるいはファッション分野もそうですが、一定程度のセオリーや理屈があって、消費者はそうした情報をいわば「左脳」で処理するわけですが、一方で、人には誰しも直感的に「右脳」で楽しみたいという欲求もあって、それも大事な要素だと思っています。
――そういう意味では今年10月から、マンダムでは「ギャツビー ザ デザイナー」という新ラインのシリーズ商品を投入し、ストリートカジュアル系、ストリートモード系、韓流系に分けて、個性の違うヘアスタイリストを3人、共同開発・監修で起用しています。
西村:お三方とも非常に影響力のある方々ですが、それぞれでフォロワーを持っておられるし、ギャツビーブランドから出すメーキャップ商品という括りで言っても、ブランドの世界観がきちんとありますので、おしゃれや身だしなみを1つの世界観として楽しんでもらう提案をさせていただきました。
当社は、時代時代の若い男性に化粧品という分野から常に寄り添ってきたメーカーですので、これまで蓄積してきた知見が数多くあります。
ですから今回の新ラインのシリーズも、女性向けのメーキャップ商品をフォー・メンとして出すようは発想法ではなく、女性向けの商品よりも容器の太さや形状を持ちやすくするようにしたり、鞄の中がゴチャゴチャしないよう、アイブロウのペンシルとマスカラを「2in1」の商品設計にしたりと、「男には男のメイクがある」という点はかなりこだわって作り込みました。
使い勝手の良し悪しはすごく大事な要素だと思いますし、使ってみて楽しい要素も重要。テクニカルな商品を出す時は特にそうですね。