ライフ

多様性溢れる面々が集う 「福岡の宝」と慕われる角打ち

「この店は福岡の宝だよ! 本物はいつの時代も残るっていうからね」(60代)と、長年通う地元客が誇る『クリヤ酒店』。

 JR博多駅の南西、昭和の面影が残る美野島商店街から5分ほどの場所に建つ店は、「裏通りだけどここはいつも賑わっている。若い人もご年配も誰でもウェルカムな雰囲気」(40代)と、まだ明るいうちから大入りだ。

「心優しい店主のおかげで安心して飲める」と女性客にも評判

「心優しい店主のおかげで安心して飲める」と女性客にも評判

 しっとり柔らかいと評判の豚足をつまみに豪快に飲む客が、「ここは心が解放される憩いの場だよ」(60代、自営業)と、ご機嫌だ。

「朝から開いているから、朝はリタイア組、昼間と夕方からはお勤めしている人が中心ね。夜は“ディナー組”って呼ぶ人もいて、時間で客層が変わるけど、みんなフレンドリーだよ。 私は今日来たばかりの初心者ですけど」(同前)と言えば、

「嘘、嘘、この人いつも会う。週5で通ってるよ」(60代)と隣で静かに飲んでいた客が割って入り、馴染みの面々が笑い合う。

「近所で英語を教えている外国のお客さんも多いし、住吉の繁華街で働くトランスジェンダーの人も来るし、多様性溢れる、懐の深い店」(30代、サービス業)

「今日は誕生日」と語る通い歴12年の女性客から“ダディー”と愛称で呼ばれている2代目店主の栗屋和隆(73歳)さんが、角打ち台の奥で常連客を静かに見守っている。

「自転車がパンクして困っていたらダディーが空気入れを貸してくれたのが12年前。それがきっかけで通うようになったんです。ねぇダディー、覚えてる?

 ダディーは酔いすぎたお客さんには『はい、おしまい。お会計するよ』ってビシッと言うこともある。優しさと強さを兼ね備えた人。いつもは無口だけどちゃんとみんなを統制しているから、誰もがみんな居心地がいいんだと思います」(30代)

常連客に「ダディー」と呼ばれる2代目店主の栗屋和隆さん

常連客に「ダディー」と呼ばれる2代目店主の栗屋和隆さん

「あそこの棚にね、お客さんがお酒を置いているんだけど、大将が『忘れもん』て言うの。ボトルキープって言うより、なんか優しさがあるよね」(60代)

「酒を媒介にして、みんなが打ち解けて話しをしているのが嬉しいですよね」と、ニコニコしながら語る店主は、学生時代は北海道で過ごしたという。

「北海道の大学で畜産を学んでいたんですよ。大学を出て地元の博多に戻ってきた。同級生の親父がここで酒屋をしていたのを手伝うようになって、そのまま、先代の店主から店を継ぎ、調理師免許を取って、女房と一緒に角打ちをやるようになったんです」(店主)

関連記事

トピックス

逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」に同行された愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、皇室とご自身の将来との間で板挟み「皇室と距離ができればこうした仕打ちがある」という前例になった眞子さんの結婚 将来の選択肢を“せばめようとする外圧”も 
女性セブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
「ピットブル」による咬傷事故が相次いでいる(左・米軍住宅参考画像)
《沖縄で相次ぐピットブル事件》「チェーンを噛みちぎって引きずった痕も…」自治体が狂犬病の予防接種すら把握できない“特殊事情”「米軍関係者の飼い犬だった」 
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルの飛行機でスヤスヤ》佳子さまの“寝顔動画”が拡散…「エコノミークラス」に乗った切実な事情
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン