最近ではBTSやARMYたちへの取り締まりだけではなく、「韓国文化」そのものを否定するような動きも出てきている。2021年9月2日に中国政府は、芸能番組や芸能界に対する通知を発表。そこには、「娘炮 (ニャンパオ)など奇形的な審美意識を断固廃絶する」「金持ち自慢や享楽的な内容、プライベートに関する噂話、ネガティブな話題の加熱、低俗なインフルエンサーなどを断固拒否する」「スター育成番組やアイドル投票、アイドルのランキング化、グッズ購入による投票の禁止」などとあった。「ニャンパオ」とは、韓国発とされるメイクやファッションが華やかな“中性的イケメン”のことを指す。
「中国でもメイクやファッションなどで“韓流”が広がっているなか、若者たちが韓国に憧れや強い好意を抱くことを警戒したと言えます。特に、習近平政権は表現の自由や文化芸術を制限する流れを志向しているので、韓流が広まり過ぎるのは面白くないのだと考えられます」(西谷氏)
米中関係の緊張状態も影響していると西谷氏は指摘する。
「中国は格差縮小を目指す『共同富裕』を掲げており、ただでさえ芸能界に対する締め付けが厳しくなっているが、米中対立のなかで韓国はアメリカ側の陣営にある。韓国とはこれまでも、高高度防衛ミサイル・THAAD配備などで関係が緊張することがあり、韓国のアイドルが自国で影響力を持つのは、決して望ましいことではないのでしょう」
国連のスピーチでは、未来を担う若者たちに「僕らは変化に怯えるよりはウェルカムと言いながら前に進んでいく、”ウェルカムジェネレーション”だ」と語ったBTS。中国からウェルカムされる日は来るのか。