愛犬家として知られるロシアのプーチン大統領。モスクワ郊外の公邸で、秋田県から贈られた秋田犬「ゆめ」(手前)と戯れる(AFP=時事)
展示時間は6時間を超えるごとに「お休み」
2021年6月1日から「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、改正法)が公布され、その中で動愛法施行規則が一部改正された。新しく「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」が定められ、その中にはペットショップに対するこれまでの批判を汲んだ改正がなされている。とくに展示については「犬又は猫を長時間連続して展示する場合は、休息できる設備に自由に移動できる状態を確保」「それが困難な場合は、展示時間が6時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない時間を設けること」の2つが新たに設けられた。
「お休み中だって、残念ねー」
別の親子が残念そうにしている。時間が来たのだろう、ショーケースの一画が布のようなもので覆われた。自然豊かな田舎の大型店だが「休息できる設備に自由に移動」するスペースはないようだ。今回の改正法も抜け道が多く、この「休息できる設備に自由に移動」できるスペースがない場合は「展示を行わない時間(休息時間)」を設けるだけで構わないということになっている。しかしこことは別のホームセンター併設のペットショップもそうだったが店によってはカーテンで覆うだけ、展示に関する基準には「カーテン等で簡易的に覆っただけで隙間から覗ける状態であったり、たまたま来客がいない時間があったりしても、『展示を行わない時間を設ける』とはみなせない」と定められているはずなのに。
「ちょっと見えるよ、かわいい」
子供が覗く。さすがに店員がやんわりと「おやすみ中だからねー」と制した。実はこの改正法、既存の事業者に限っては2022年6月までに対応すればいいことになっている。準備期間が必要だろうという判断だが、本来はそれ以前から犬や猫の休息や自由に運動させる程度の対応は法改正前から進んで行うべきであり、なるべく金と手間をかけずに命で儲けようという姿勢が見え見えと言われても仕方がない。
それにしても「展示時間が6時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない時間を設ける」の6時間の根拠はなんだろう、まさか人間の労働基準法第34条「労働時間が6時間を超えるなら少くとも45分、8時間を超えるなら少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」におおむね準じた形だろうか。改正法に「(休息は)少なくとも30分~1時間程度は必要と考えられる」とあるので本当にそうなのかもしれない。子犬も子猫も十分な睡眠が必要で18時間は必要だ。ひと昔前のペットショップ、とくに繁華街の酔客相手のペットショップなどでは昼間から日付が変わる真夜中まで煌々と灯りのつく中で客にいじくり倒されていた。それに比べればマシだが、いまだ陳列という名の晒し者には変わらない。この改正法、保護団体関係者からの評判が悪いわけだ。