芸能

大ブレイクの岸井ゆきの、「明るい殻に包まれた闇」を演じる力

岸井ゆきのと高橋一生のダブル主演で話題のよるドラ『恋せぬふたり』(毎週月曜夜10時45分〜) (c)NHK

よるドラ『恋せぬふたり』第3話より(NHK総合、毎週月曜夜10時45分〜) (c)NHK

 他者に恋愛感情を抱かず(アロマンティック)、性的感情を抱かない(アセクシュアル)男女を高橋一生と岸井ゆきのがダブル主演で演じ、話題のドラマ『恋せぬふたり』(NHK総合、毎週月曜夜10時45分〜)。ドラマオタクのエッセイスト・小林久乃氏は、女性の主人公を演じる岸井ゆきのの演技を見て、過去の出演作での役柄との共通項に気づいたという。それは何か。

 * * *
 2022年早々に興味深いドラマが始まった。“アロマンティック・アセクシュアル”をテーマにした『恋せぬふたり』(NHK総合)がそれだ。恋愛やセックスに興味がない兒玉咲子(岸井ゆきの)と、アロマンティック・アセクシュアルを自認する高橋羽(高橋一生)が、世間からの「結婚して幸せな家庭を持ちなさい」という同調圧力から逃れるかのように、自分たちなりの家族の形を求めて同居生活を始める物語。

 岸井ゆきのさん演じる兒玉咲子は、スーパー本社の営業戦略課で働く。人望は厚く、勤務態度にも全く問題がない。同居していた両親、結婚して甥っ子たちを見せてくれた妹も大好き。そしていつも明るく笑顔で振る舞う。でもその裏には、恋愛ができないという秘密がある……。ふと、この興味深い設定を見て岸井さんがこれまでテレビドラマで演じていた役柄を思い出した。この人、「表向きは明るく装っていても、実は内側に闇や困難を抱えた役」が多いのでは? と。

周囲からの「圧力に耐える役」が多い

 今回気になった“実は闇や困難を抱えた役”というキーワードから岸井さんを意識したのは『モンテ・クリスト伯 —華麗なる復讐—』(フジテレビ系・2018年)。ディーン・フジオカさん主演で話題を呼んだ、通称『モンクリ』である。岸井さんが演じた入間未蘭は、警視庁に勤務する大層な父親を持ち、継母と生活している。両親の前では明るくしながらも、父親が選んだ相手と「結婚しろ」と強要されることに疑問を抱いていた。ラストは魚市場で働く男性と結ばれるという役。兒玉咲子と少し似ているのかもしれない。

『私たちはどうかしている』(日本テレビ系・2020年)でも家同士の政略結婚を背景にしながら、お見合い相手の高月椿(横浜流星)のことがどうしても忘れられず、最後は裸で迫るというシーンも。まさに肉迫。

 現在放送中の『恋せぬふたり』を含めても、世間や両親の同調圧力に耐えていることが多い。これは独身代表として言わせていただくが、世間一般に転がっている案件。口に出さずともあなたの周囲の人間も心苦しんでいるかもしれない。役柄ということでややハードではあるけれど、岸井さんが見せてくれた勇姿は独身軍の明るい光なのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン