海底火山の噴火という新たな脅威(写真=AFPPHOTO/NASA/NOAA)
5時間で津波が日本到達
日本から離れた場所での海底火山の噴火にも引き続き警戒が必要だ。トンガ沖の海底火山の噴火による津波では、幸い日本で死者やケガ人などの人的被害は出なかったが、予断を許さない状況だという。
「トンガは171の島からなる群島で、その南にあるケルマディック諸島との間には多くの海底火山があり、いずれもいつ噴火が起きてもおかしくない」(巽氏)
2005年にはオーストラリア、ニュージーランド・米国、ドイツの3チームによる海底調査の結果、ニュージーランド北方からトンガまでの南太平洋の海域に75個の海底火山が存在していることが明らかになった。
日本に近いフィリピンエリアにも注意を払う必要がある。高橋氏が語る。
「フィリピンの周囲には多くの海底火山が存在することが分かっています。同エリアは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込んでいるため、地震が起きれば海底火山が連動して噴火する可能性があります。日本も軽石や津波などの被害は無視できないでしょう」
北方の海域にも警戒が必要だ。
「カムチャッカ半島やアリューシャン列島など、島が点々とある地域は、その島と島の間に多くの海底火山があります。これらが噴火したり、大地震が発生したりすれば、5時間ほどで日本に津波が到達します」(高橋氏)
未知の領域が多い海底火山。トンガ沖から発せられた“警告”を受けて、日本でも研究の進展が待たれる。
※週刊ポスト2022年2月4日号