まだ、私は死ぬ時期じゃない

 32才のときにマネジャーが運転する車が3回転以上も横転する事故にあう。

「警察のかたから『生きているのが奇跡』と言われるほどの大事故でしたが、頸椎捻挫と頭部打撲で済みました」

 40才のときには、建設途中の家が台風の被害に。

「幸い誰も家にいなかったからよかったですけどね。まあ、自然災害だからどうしようもありませんでした」

 43才で結婚したが、49才で協議離婚を決意することになる。

「相手が酒乱だったんですよ。だから弁護士さんにお任せして、裁判所にも1回行ったのみ。相手はいま、どうしているかまったく知りません」

 51才で心機一転、テレビ番組の企画で芸名を西川峰子からいまの仁支川峰子に改名。その翌年に甲状腺乳頭がんが発覚し、その手術のときにも信じられないようなアクシデントに見舞われる。

「手術で失敗されちゃったんですよ。どうも麻酔が効きすぎて、息ができなくなったみたいなのです。見た目は静かに眠っているようでしたが、当の私は息ができず、苦しくて苦しくて。それがお医者様には届かないんです! 『ああ、死ぬときってこんなに苦しいんだ』と思いましたね。一種の悟りというか……。よく、亡くなった人のことを『穏やかな最期でした』って言うけど、とんでもないことですよ。 

 でも、苦しみながらも私は心の中で“まだ私は死ぬ時期じゃない、まだ違う、早い”と叫んでいたんです」

 このとき、彼女は3日間で10回呼吸困難に陥るが、奇跡的に息を吹き返したという。

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