度重なる喪失から立ち上がってきた半生。その軌跡はエッセイ『乙女オバさん』に詳しく綴られている。
「自分で言うのも何なんですが、私の人生って本当に失敗だらけ(笑い)。でも、そのすべてが糧になっていると思いたい。本を読んで、私の失敗の数々が皆さんの“心の雨風”をしのぐちょっとした傘になればいいなと思います」
エッセイを出版するきっかけになったのは、昨年11月に他界した瀬戸内寂聴さん(享年99)にかけられた「あなた、本を書きなさい」という言葉だった。
「残念ながら本は見せられなかったけれど、先生からいただいた数々の言葉はずっと私の支えになっています」
今後は、女優業に加えてバンド活動にも力を入れていく予定だという。
「2018年から始めたバンド活動ではボーカルを務めています。今年はオリジナル曲の配信を予定しています。あとは、『恋愛はもうこりごり』とは言いたくないんです。恋愛だけを望んでいるわけではないけれど、何かのきっかけで恋をすることがあってもいいかなとは思う。とにかく、自分をいちばん大事にできる選択をしていきたいですね」
数々の苦難を乗り越えたいま、「人生はすごろくのようなもの」だと南は感じているそうだ。
「『1回休み』や『3コマ戻る』のときもある。でも、1コマずつ進んでいけば、見える景色も変わってくるはず。いま、どん底にいる人でも、いつか笑える日が来る。生きていれば絶対に大丈夫。月日が解決してくれるはずです」
南が寂聴さんの言葉に励まされてきたように、今度は南の力強い言葉が人生に迷う人の心を支えてくれるだろう。
※女性セブン2022年2月10日号