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長友佑都への過度の批判に懸念 かつての「カズバッシング」から学ぶ

サッカー日本代表・長友佑都への風当たりが強まっているが…(27日の中国戦。AFP=時事)

サッカー日本代表・長友佑都への風当たりが強まっているが…(27日の中国戦。AFP=時事)

 長年、サッカー日本代表の左サイドバックを務めてきた35歳のベテラン長友佑都への風当たりが強くなっている。1月27日のカタールW杯アジア最終予選の中国戦で、日本は2対0と完勝した。しかし、再三チャンスを作った右サイドに比べ、左サイドの長友はほとんど好機を演出できず、代わって入った24歳の中山雄太が2点目をアシスト。以前から渦巻いていた“長友不要派”の声はさらに大きくなり、2月1日のサウジアラビア戦で森保一監督がどんな決断を下すのか注目されている。スポーツライターが話す。

「今の状態を見たら、中山を先発で使った方がいいという意見が多いのは理解できる。結果を残した選手を差し置いてベテランが使われると、よほどのパフォーマンスを見せない限り、逆風がさらに強くなる。それは結果的に、ベテランにもチームにも悪影響を与えます」(以下同)

 W杯予選とベテランといえば、フランス大会を目指した1997年のアジア最終予選が思い出される。フィールドプレイヤー最年長の30歳である三浦知良は初戦のウズベキスタン戦で4ゴールを挙げる大活躍を見せた。しかし、3戦目のホームの韓国戦で尾てい骨を痛め、以降はパフォーマンスが落ちた。

「カズは別メニューで調整することもありましたが、それでも加茂周監督はアウエーのカザフスタン戦、後任の岡田武史監督はアウエーのウズベキスタン戦以降も先発で起用し続けた。ケガを抱えているカズは満足なプレーができず、ノーゴールが続き、加茂監督の更迭以降は“勝てない日本の原因はカズにある”とバッシングを受けました。当時は控えのフォワードである城彰二が『なぜ万全な状態でない選手を使うのか』と首脳陣やメディアに不満を漏らすこともありました。今回の長友もそうですが、知名度の高いベテラン選手は結果が出なくなると、一番の標的になります」

 カズはアジア第3代表決定戦のイラン戦にも先発したが、ゴールを奪えないまま、63分に交代。代わりに入った城が同点ヘッドを決め、延長になると大会を通じて初めて投入されたフォワードの岡野雅之がVゴールを挙げて、日本は初めてW杯の切符を手にした。

「もしあの時、カズが自ら無理だと申し出るか、監督が休ませる決断をしていれば、バッシングに晒されることもなかったかもしれない。カズは休んでしまえば、自分のポジションを奪われる危機感を持っていた。これは選手なら誰しも考えることですし、代表クラスの選手になればなるほど、無理してでも試合に出る精神力を持っている。だから、カズは日本のエースになれた。ただ、あの時は状態の悪いまま出て、ゴールも奪えず、チームも勝てなかった。そして日に日に、バッシングが強まるという悪循環に陥っていきました」

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