バイオジェン社の「アデュカヌマブ」(時事通信フォト)

バイオジェン社の「アデュカヌマブ」(時事通信フォト)

 これまで認知症の症状を遅らせる薬はあったが、根治薬はなかった。

 それが昨年、初のアルツハイマー病根本治療薬とされるバイオジェン社の「アデュカヌマブ」が米国で承認された。ただし、これは追加的な試験が求められる条件付きの承認で、その後、ヨーロッパでは当局が承認に否定的な見解を発表。日本でも早期承認が期待されていたが、昨年12月の厚労省の専門部会ではアデュカヌマブの製造販売承認申請が認められず、継続審議となった。

“夢の新薬”の挫折で医療現場が落胆ムードに覆われるなか、バイアグラという“かつての夢の新薬”が思わぬかたちで再び注目を集めているわけだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が期待感を込めて指摘する。

「臨床試験の結果次第では、将来的にバイアグラの有効成分を使った薬がアルツハイマー病の治療薬となる可能性が十分にあると考えます。しかもアデュカヌマブは非常に高額になると見込まれていた一方、バイアグラは国内外で特許が切れて、ジェネリック医薬品がたくさん出ています。仮に認知症の治療薬となれば、より安価な薬として大勢の患者に行き渡る可能性があります」

 果たして、バイアグラは超高齢化社会の救世主になりうるのだろうか。

もともと狭心症の薬

 にわかに注目が集まるバイアグラは、もともと狭心症の治療薬としてヨーロッパで開発が進められた。だが、臨床試験をしても狭心症治療の効果が乏しく、製薬会社は治験を中止しようとした。ところが不思議なことに、被験者は薬を返却しようとしなかった。

「それどころか、薬を飲んだ患者はみんな喜んでいたんです」

 そう指摘するのは、川崎医科大学附属病院院長の永井敦医師だ。

「不思議に思った製薬メーカーが理由を尋ねると、『勃起の調子がいい』ことがわかった。狭心症の患者は血管が狭くなっていて勃起が起きにくいはずですが、バイアグラを飲んだら“勃ち”がよくなった。そこで製薬メーカーは、勃起障害治療薬としての開発に軌道修正したのです」

 1993年7月にED患者を対象にした臨床試験が始まり、日本国内では1999年1月にED患者への投与が承認されて、同年3月に販売が始まった。

 青いひし形の形状から「ブルーダイヤモンド」と呼ばれたバイアグラは日本でも“夢の薬”として話題をさらった。

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