仮想通貨のマイニング(採掘)工場(イメージ、AFP=時事)

仮想通貨のマイニング(採掘)工場(イメージ、AFP=時事)

「男性からは、あるサイトのURLが送られてきて、そこには私が購入した400万円分の仮想通貨の値段が、ぐんぐん上がっていくチャートが載っていました。一時期は700万円近くまで上がり、300万円分を現金に戻したいと相談したんです」(山本さん)

 しかし、出資金を預けた男性は「今、現金化すると勿体無い、もっと上がる」と払い戻しに反対し、山本さんの申し入れを聞こうとしなかった。山本さんも不安がまったく無かったわけではないが、男性に説得されながら400万円が増えているというチャートを見て「それもそうだ」と払い戻さないことに納得してしまったという。

 そして2021年、山本さんが「投資」したこの仮想通貨をめぐり、複数人が逮捕された。逮捕されたメンバーの中に、山本さんが投資した金を預けた男性は含まれていなかったが、この出来事により、投資した金は実際には運用に回されていないことが明るみに出た。知人も「騙された」と泣いて詫びたというが、知人がグルだったのかどうかは、今なおわからない。首謀者らは、集めた現金で投資をせず、自身の派手なライフスタイルをSNSで宣伝するための「見せ金」に使っていたとみられる。さらに、常に新たな「投資者」を獲得しつづける自転車操業状態に陥っている「詐欺」だったことも発覚したのだ。事件を取材した大手紙社会部記者がいう。

「逮捕された男は『マルチの帝王』と呼ばれ、以前にも似たような詐欺事件を起こしていました。今回の被害額は650億円とされていますが、実際はもっと多いのではないかというのが当局の見方。被害者の数は、数百人とも数千人とも言われています」(大手紙社会部記者)

 400万円が失われたと失意の底にあった山本さんが食い入るように見入っていたのが、この大規模詐欺事件の「被害者」達が集まる、SNS上のグループチャットだった。

「全国各地から、この詐欺事件に巻き込まれたという人々がたくさん集まってきて、金を取り返すためにはどうしたらいいかと話し合っていました。私が参加した時点で、ユーザー数は1500人ほど。それほど多くの人が騙されているのかと思うと、これは警察が動いて当然だな、と安堵さえしました」(山本さん)

 しかし、である。このグループチャットを見続けるうちに、被害に遭ったと自己紹介しながら「金を取り戻せました」という、山本さんにとって、あまりに羨ましい書き込みをする人が何人も出現していた。山本さんは藁にもすがる思いで、この書き込みをした人物とメッセージのやり取りを開始したのだ。

「よくよく話を聞くと、その取り戻せたと言っていた金は別の確実な投資によってもたらされたものなので、金を取り戻したいのであれば別途100万円くらい用意して欲しい、というものでした。実際、チャット上にはこの人物に『金を取り返してもらった』という書き込みもありましたが、言っていることが違う、怪しいなと。これは結局、騙しじゃないかと疑いを抱きました」(山本さん)

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン