国内

詐欺被害者が情報交換する場で再び騙される人が出てしまう構図について

同じ被害を訴える人たちと語り合えるSNSは救いになるのか?(イメージ)

同じ被害を訴える人たちと語り合えるSNSは救いになるのか?(イメージ)

 犯罪を何度も実行する人は、基本的に最初に手を染めた型の犯行を繰り返す傾向がある。とくにその特徴が強くあらわれるのは詐欺なのだが、詐欺の場合は被害者が数年後に似たような詐欺被害に遭う逆の繰り返しもたびたび起きてきた。最近では、その被害のインターバルが極端に短くなっているのではと疑われる事例が出ている。ライターの森鷹久氏が、ネットで被害者の集いが可視化されたために、騙す者と騙された者、取り返したい人や儲けたい人が入り乱れる被害者LINEグループの混乱を追った。

 * * *
 警察庁が公表しているデータによれば、特殊詐欺の認知件数、被害額ともに近年は減少傾向にある。発表資料をみると被害額は過去最高となった2014年の565.5億円から2020年には約半減したとはいえ、依然として高い水準で発生しており、深刻な情勢だといえるが、取材を通じてある傾向も浮き彫りになってきた。

 これまで特殊詐欺について取材を続けてきたなかで、最近特に顕著だと感じているのは、繰り返し被害に遭う詐欺の被害者が多いことだ。この現象は決して偶然ではない。騙している側の動向を探ると、詐欺被害者をあえて狙っていることがわかる。

 たとえば、オレオレ詐欺に使用される名簿の中には「すでに騙された人」のリストが存在している。一度騙された被害者に「金を取り戻す」などと言って近寄り、新たな詐欺を働きかけるのだ。一度も騙された経験がない人よりも騙しやすい傾向があるためで、詐欺師連中は詐欺被害経験者を「鉄板」と呼び、たやすいターゲットだと軽んじている。

 そしていま、名簿を取り寄せずとも、被害者リストを入手できる場所がある。名簿は被害者をピックアップする作業が必要になるが、そこは被害に遭った人がみずから参集してくれるところだ。

馬鹿だと分かっていてもLINEグループをやめられない

「年末年始もずっとLINEグループの投稿を、目を皿のようにして読み込んでいました。馬鹿だとは分かっていますが、やめられないんですよ」

 千葉県香取市在住、自営業の山本太さん(仮名・50代)は一昨年、知人から「仮想通貨」に出資すれば大儲けできると勧誘を受けた。知人は「すでに3000万円以上儲かった」と豪語していて、FacebookなどのSNSに、その派手なライフスタイルを見せつけるように画像や動画を数多くアップしていた。山本さんもそれを真に受け、預貯金の300万円と、新たに借入をした100万円の計400万円を数回に分けて「確実な出資先」だと知人から紹介された男性に現金で手渡した。

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト