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沢田研二が『夜ヒット』で見せた数々の伝説 50枚の畳の上で『サムライ』熱唱

沢田

ジュリー独特のエロティシズムあふれる『女神』。妖艶な魅力に多くの人が虜に

 1968年11月から1990年10月まで22年にわたり放送された、伝説的な音楽番組『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)。番組の評価が高まるにつれ、この『夜ヒット』で新曲を発表する歌手が増えてきた。新曲発売のタイミングで同番組にキャスティングされることが、歌手にとってステータスとなった。

 ジュリーこと沢田研二も、ほぼ毎回、レコード発売前に『夜ヒット』で新曲を披露していた。

「衣装も含めての初披露。オープニングメドレーではスーツなどの衣装が多く、番組中に、歌う曲の衣装にチェンジするお手伝いをしましたが、間に合うかハラハラしていました」と語るのは、1978年2月から1年間、ジュリーの付き人を務めたタンゴ歌手の西澤守さんだ。

「生放送のスタジオから楽屋が離れていたので、そこまで行く時間がない。いつもスタジオの隅に姿見を置いて、着替えていました。『LOVE(抱きしめたい)』のときは雨の演出で、革のコートをスプレーでずぶ濡れにし、手に包帯を巻いて、その上に赤チンをつけるなど、決まりごとが多かったんです。濡れて重くなったコートを着て歌い、さらに2番あたりからどしゃ降りの雨になりますから、歌っているうちにコートがさらに重くなって大変だったと思います」(西澤さん)

 夜ヒットのジュリーといえば“伝説のセット”がある。1978年1月30日放送の『サムライ』歌唱時の、50枚もの畳をスタジオ中に敷き詰めたもの(通称「畳サムライ」)だ。

 デビュー以来、1984年までジュリーの楽曲をプロデュースした木崎賢治さんは、その衝撃をいまも鮮明に覚えているという。

「早川タケジさんの衣装に注目して歌に聴き入っている間に、音も立てずに整然と50枚もの畳を敷き詰めるスタッフの手際のよさ、それを映さずにさまざまな角度から沢田を追うカメラワーク、一面に敷かれた畳の衝撃、そして最後に刀に反射するライト—すべてがすごかった」(木崎さん)

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