「開運福顔」メイクを知って野原広子が変わったこと
いままで、「いい顔してるねぇ」
と、言われたことは何度かある。背伸びして入ったレストランでは、店の人は必ず私の前に勘定書を置いた。まさか目の前で笑っている女が、全財産が数万円だなんて思わないのね。そういうときは、居心地の悪さに、内心、身を縮めていたけれど、それにつけても金運に見放されて64年。笑いごとじゃすまされない。そんな私に、
「おでこを出さないからです」
と思わぬことを言ったのが木村さんだ。髪で額を隠しているから金運が回らないんだって。思えばオカッパ髪の子供の頃からおでこを出したことがない。ああ、なるほどなぁと腑に落ちたね。
笑ってさえいれば福顔に見えることを、私は体験的に知っている。でもこの狭い額は貧相の象徴。ここを出すことは私の切ないお財布事情をあらわにすること。ダメでしょ。それだけはマズイよと、どこかで思っていたんだわ。そこをスパーッと指摘されたような気がした。
もうひとつ、金運を下げているのは、鼻の穴が見えることだそうだ。子供の頃、村の大人たちは大阪の漫才師「花菱アチャコ」をもじって「鼻ピチャ広子」とはやしたてた。小学生時代のあだ名は「ブー子」。女の子が言われていちばん悲しい言葉だ。そんなわけで「鼻」と聞いただけで劣等感のアンテナがピンと立つ私。
「“鼻の穴よ、下を向け”と手で鼻の上を伸ばすようにして、やさしく脳に言い聞かせるんです。徐々に鼻の穴が見えないようになりますよ」(木村さん)
なるほど、自分で理想の顔になると思い込むことも大切なんだって。
それと、いまの私が最も気がかりなのは右頬の大きなシミだ。40代後半にレーザーでシミを焼いて、そのときはきれいに消えたんだけど、時間と共に前の倍の濃さになったの。そんなコンプレックスをも木村さんはこう吹き飛ばす。
「それも気にしすぎです。言われないと周りは気づかないものよ。大切なのは自分で自分の顔を好きになること」
そんなわけで私は、翌日から教わった通りに眉は太く、眉尻を長く描き、その中にピンクの色みを足して、最後に肌がキラキラ光るようにオイルをのせている。
あれから2週間。あら、顔に気がみなぎってきたような……。先週は新たな仕事の依頼もあって、えっ、金運も?
なんだか今年の春はいつもの年より待ち遠しくなってきたわ。春よ、来い!
【プロフィール】
日本開運学協会理事長兼家元・木村れい子さん/開運福顔の専門家・開運美容家・お顔の顔相士。東洋の観相学・人相学・脳科学・開運術を研究し、1万人以上の鑑定を行う。著書に『すべての運がたちまち目覚める「開運福顔」のつくり方』(サンマーク出版)。
取材・文/土田由佳 イラスト/ico. 撮影/楠聖子
※女性セブン2022年2月17・24日号