αディフェンシン低下によるうつ発症のメカニズム
さらに加齢による免疫機能低下の原因を研究するため、北海道の住民196人の便を調べ、αディフェンシンの量を測定する大規模コホート調査の便検体解析を行なった。対象は35~81歳の男女だ。
「高齢者は中高年世代に比べ、αディフェンシンが減少していました。また免疫と肥満に関係が深い短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌が加齢とともに減少しているのもわかりました。結果、加齢によるαディフェンシンの減少が腸内細菌叢の悪化に繋がり、免疫低下のリスクを高めていると考えられます。やはり、高齢者が病気になりやすいのはαディフェンシンの減少で腸内細菌叢が破綻し、免疫力が低下するのが一因です」(中村准教授)
腸内細菌叢は個人個人で違うので、有用菌を補充するだけでは改善が難しい。その問題点を解消すべく、中村准教授らはパネト細胞を活性化させる食成分の特定を急いでいる。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年3月4日号
中村公則・北海道大学大学院先端生命科学研究院准教授