昨年、6年ぶりのセ・リーグ最下位に沈みながらも、オフに石井琢朗、斎藤隆、鈴木尚典、相川亮二という、現役時代に実績のあるOBをコーチとして招聘し、24年ぶりの優勝を目指す横浜DeNAベイスターズ。今季の注目ポイントをプロ野球担当記者が解説する。
「昨年、ヤクルトが最下位から日本一になったように、各球団の戦力差はそれほどない。今年はDeNAが台風の目になると思います。昨年はオースティン、ソト、エスコバーなどの外国人選手が新型コロナウイルスによる影響で開幕に間に合わず、4月に借金15を作ってしまいましたが、その3人が戻ってきてからは立ち直った。問題は投手陣でしょう。
毎年、新星が出て来るものの、2年目に故障で離脱するケースも多い。彼らが揃って活躍すれば、“投手王国”と呼ばれる日も夢ではないのですが……。野手では信頼できる捕手の育成が重要ですし、ショートのポジションを俊足と強肩を兼ね備えた高卒3年目の森敬斗が奪えるかもチームの浮上に大きく関わると思います。スタメンで足を使える選手が少なく、機動力がここ数年の課題になっていますからね」(以下同)
2018年からDeNAのショートは、阪神からFA移籍の大和がレギュラーを確保してきた。今年34歳を迎えるベテランの力はもちろん必要だが、世代交代の時期に差し掛かっていることは否めない。2019年ドラフト1位の森は1年目の終盤に一軍昇格し、初打席で巨人のビエイラからフェンス直撃の二塁打を放った。飛躍を期待された昨年は44試合の出場に留まったが、後半戦は先発出場の機会も増え、最後の5試合もスタメンを任された。
「高卒2年目の野手が活躍するのはかなり難しい。あのイチロー(オリックス)も2年目までは一軍と二軍を往復していました。しかし、3年目に200安打を打っています。城島健司(ダイエー)は1年目12試合、2年目17試合と一軍での出番は少なかったですが、3年目に規定打席に到達して3割8厘、15本塁打、68打点と開花した。
森と同じ内野手で高卒3年目にレギュラーを獲得した選手は宇野勝(中日)、松井稼頭央(西武)、西岡剛(ロッテ)、山田哲人(ヤクルト)などがいます。彼らのほとんどは前年にスタメンで試される機会が多く、一軍のレベルを実感して、自分の課題を明確にしたことで翌年の活躍につなげています」