ビジネス

朝日新聞が「再成長アドバイザー」に任命したのは“70代大物OB”だった

「再成長アドバイザー」に様々な意見が(時事通信フォト)

「再成長アドバイザー」に様々な意見が(時事通信フォト)

 朝日新聞社内で2月3日、「社長室」から届いたメールに衝撃が走った。2020年度に創業以来最大の最終赤字を計上した朝日は、2021年4月に就任した中村史郎社長のもと、新たな経営体制で「朝日新聞を創り直す」をスローガンに掲げている。

 その一環で経営再建への新たな試みとして、社長に対する助言役となる「朝日新聞を創り直すためのアドバイザー」(通称「再成長アドバイザー」)を委嘱するという。社員に宛てたメールには就任する3人について、法政大学経営大学院教授の高田朝子氏、博報堂出身のアートディレクターの森本千絵氏と並んで、テレビ朝日ホールディングス代表取締役社長の吉田慎一氏の名前があったのだ。

 朝日新聞デスクが語る。

「吉田氏は朝日新聞OBで、福島支局で取材した木村守江・県知事の収賄汚職事件は書籍化され、1978年と1995年にも新聞協会賞を受賞した。主に政治部畑を歩み、ワシントン特派員、東京本社編集局長、常務取締役編集担当と上りつめて2014年にテレビ朝日社長に転じました。朝日を創り直すと言いながら、昔の“朝日の象徴”のような70代OBを助言役に任命するなんてブラックジョークでしかない」

 中村社長は「自前主義からの脱却」を具現化するための再成長アドバイザーだとしている。任期は1年で、〈社外からの専門的な知見を経営中枢に届けてもらい、より外に開かれた経営につなげていきたいという狙い〉があるという。

 さらに社員に向けて〈「なぜ今さらOBに頼るのか」という疑問があるかもしれません。しかし、本社での経営経験が長い吉田さんから過去の教訓や危機感の共有などについて助言してもらうことには大きな意義があります〉と綴っている。

「大先輩への忖度なのかわかりませんが、この会社が変わるつもりはないというのがよくわかります」(前出・デスク)

 朝日に選出の理由や報酬などを訊ねると、

「吉田慎一様には、これからのメディア企業像についてのアドバイザーを引き受けていただきました。テレビ局役員として、また当社OBとしてのご経験を踏まえ、幅広くご助言いただきます」(広報部)と回答した。

 人材選びは保守的なようだ。

※週刊ポスト2022年3月11日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン