国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリストで作家の落合信彦(おちあい・のぶひこ)氏が2月1日、老衰のため東京都内の病院で亡くなった。84歳だった。
落合氏の将来を見通す分析眼は、確かなものだった。世界の警察官たる役割を放棄するアメリカ、そして暴走する独裁者・プーチン大統領──氏が鳴らし続けていた警鐘は、2026年の世界が直面している“悪夢”そのものであると言える。【前後編の前編】
落合氏は、長く“平和の配当”に酔いしれる日本に対し、一貫して「アメリカは世界の警察官であることをやめる」と語っていた。かつてケネディ政権下の「強いアメリカ」を目の当たりにしていた落合氏は、その変質をいち早く察知。雑誌『SAPIO』での連載や著書『そして、アメリカは消える』(2016年)の中では、超大国の“内向きな姿勢”と覇権の崩壊を予見していた。
その国際秩序の間隙をぬって世界を荒らす存在として、落合氏が警戒していたのがロシアのプーチン大統領だった。2014年のクリミア併合後、落合氏は「プーチンは戦争をしたくて仕方がない男だ」と評し、彼を“自分が世界の覇者だとする危険な独裁者”だと警告していた。
〈プーチン大統領は、武力による現状変更を躊躇しない、冷戦時代の亡霊だ〉
落合氏は繰り返しそう語っていた。今日のウクライナ情勢は、まさに彼の眼が捉えていた最悪の予測が的中した形となった。
