アラーム療法のセット
3つ目は覚醒障害。人間は深い眠りと浅い眠りを繰り返している。夜尿症がない子供は明け方になると眠りが浅くなり、尿意を感じれば、目を覚ます。一方、夜尿症の子供は睡眠のリズムが崩れていて、本来は眠りが浅くなる明け方に深くなってしまい、尿意を感じても、目覚めずに漏らしてしまうのだ。
「ほっといても、年間15%は治癒します。それでも治療することで、早期の改善が期待できます。治療の第1選択は尿を濃くするホルモンに似た成分を補充するタブレット服薬ですが、他にアラーム療法もあります。この療法の作用機序はまだ明らかではありませんが、効果は認められています。具体的にはオムツに水濡れセンサーを取り付け、少しでも漏れるとブザーが鳴るので子供を起こし、排尿させるのです。平均6週間継続すると効果がでます。ただ親の負担が大きいのか、途中で止めるケースがあり、問題となっています」(平野医師)
今は慢性便秘と夜尿症の関連も明らかになっている。子供の便秘は腹痛を伴わないことが多く、親も本人も気づきにくい。ともあれ、お子さんや、お孫さんの夜尿症が気になる方は専門医に相談を。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年3月11日号
平野大志・東京慈恵会医科大学附属病院小児科医師