昨季同様、若い戦力が活躍できるか

 阪神は競り負けた翌年にほとんどBクラスに転落しているが、巨人は1年を除いてAクラスを保ち、2年は優勝している。一体、この差は何か。プロ野球担当記者が話す。

「巨人は優勝を至上命題とされ、ペナントを制しなければ叩かれる。しかし、阪神の場合、優勝回数も少なく、2位で終わると『健闘した』と称えられがち。例えば、1992年は大方の評論家が最下位予想する中で、亀山努や新庄剛志の台頭、仲田幸司や湯舟敏郎など若手投手陣の開花で大躍進をした。

 阪神は負けが込めば叩かれるが、少しでも活躍すればすぐにヒーロー扱いされる。マスコミやファンの扱いが他球団と違って特異です。そうした面も影響しているのではないでしょうか。1986年の巨人は勝利数で上回りながらも広島に勝率で劣って2位だった。すると、3年連続V逸の責任を感じた王監督が進退伺を提出しています。それほど優勝に対する思いが球団もファンも異なる印象です」(以下同)

 阪神は1987年から2002年までの16年で、Bクラスが15年もあった。唯一、1992年だけは光明が差した。活躍した選手が若く、暗黒期を脱するかと思われたが、翌年から再びBクラスに転落した。

「打線強化のため、24歳の本格派右腕・野田浩司を放出して、オリックスから32歳で実績のあるスイッチヒッターの松永浩美を獲得したトレードが失敗と言われています。松永が故障で3度も戦列を離れ、期待外れだったのもあるでしょうけど、前年14勝の仲田幸司が3勝に終わり、期待された嶋尾康史が故障するなど野田の穴を埋めきれなかったことも大きかった。オフに松永がFA(フリーエージェント)でダイエーに去ったことで、失敗トレードのイメージが増幅したのもあるでしょうね」

 昨年の阪神の躍進はルーキーの伊藤将司、中野拓夢、佐藤輝明による若い力も大きかった。その点では、1992年と似ている面もある。今年は矢野燿大監督がキャンプイン前日に今季限りの退任を発表。ラストイヤーを優勝で飾りたいところだろう。

「2年目になる3人が昨年と同じような成績を残せれば大崩れはしないでしょう。逆に言えば、若手にかかる比重が大きい分、伸び悩んだ時にはチームも低迷する。最近は“2年目のジンクス”もなくなりつつありますし、矢野監督の采配次第では17年ぶりのVも十分目指せると思います」

 矢野監督の胴上げで有終の美を飾れるか。

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