女優・小池栄子はいかにして生まれたか(時事通信フォト)
共演者の中井貴一(60)に「小池さんは今後もお芝居をやっていくんですか?」と聞かれ、小池はこんな悩みを打ち明けたという。
「私はお芝居が好きだけど、今はグラビアとかバラエティの仕事もしている。でももうグラビアの年齢でもなくなってきているし、かといってバラエティでもベースがない……」
自分の本当の居場所が見つからないという小池。だが、そんな彼女の中に、中井は女優としての“空気感”を感じていた。
「お芝居を生業としてやっているのか、好きでやっているのかの違いは大きい。言ってみればお芝居の先にお金があるのか、それとも夢があるのかの差です。小池さんはお芝居が好きで、その先に夢を持っている方なのだなーと感じました」(中井)
そのうえで中井は、小池にこんなアドバイスを送った。
「人間、全てを得ることはなかなか難しい。もし女優・小池栄子としてやっていくのなら、バラエティの仕事が1本も来なくなる覚悟を持ってやったほうがいい」──と。
それから2010年。中井は映画『記憶にございません!』で再び小池と共演した。
「小池栄子という立派な女優さんがそこに存在していました。“ああ、成長したな”とか、そういう感覚ではなかったです。初共演の時から女優としての“核”みたいなものを感じていて、当然、そうなるだろうと思っていましたから」(中井)
小池との芝居は“楽”なのだと中井は話す。
「お芝居は一人でやるものではないので、常に心が揺れながら、そよぎながら相手の言うことに反射的に返さないといけない。これはある意味バラエティに通じる部分で、小池さんにはそこで培った経験がある。リハーサルとニュアンスが変わっても、それを瞬時に受けてくれるんです」
樹木希林のように…
小池が日本アカデミー賞優秀助演女優賞に輝いた映画『八日目の蝉』の監督を務めた成島出氏(60)は、彼女の「練習量に驚いた」と語る。
「我々の世界では『一声、二顔、三姿』の三拍子が揃ってこそいい役者だと言いますが、小池栄子は声が素晴らしい。それは本来、グラビア出身の人には珍しい声なんです。彼女はトップレベルの舞台に出る機会を自ら作り、陰の努力で手に入れてきたのでしょう。トレーニングの賜物です」