――増やすといえば、投資が真っ先に思い浮かぶが、現在は米国の利上げやウクライナ情勢で株価は続落している。
大村:それでも個人的には米国株や全世界株は長期的視点で考えると成長すると考えています。
米国株のインデックス投資信託でいえば1950年から2020年までで見た場合、15年以上投資を続けた場合、ほぼほぼマイナスにはならないという結果が出ています。短期トレードは大損する可能性はありますから、狼狽売りはしないことです。よってつみたてNISAなどでコツコツ増やすことが大切ではないでしょうか。ただし、リタイアを視野に入れている人の場合は現金比率を高めておくことだけは忘れないようにしておきたいものです。
年金改正についても準備を
――4月から年金制度改正法が施行されて、さまざまなルールが変わる。
大村:これまでは年金の繰り下げ受給は最高70歳までだったのが75歳までに変更される。それによって最大84%増える。基礎年金でいえば約78万円が143万円に増える。ただし、損益分岐点は87歳。それ以上生きた場合は得になりますが、男性でいえば平均寿命を超えることになります。また、受給額が増えた分だけ税金や社会保険料も上がるので、そのあたりも考慮しながら受給を始める年齢を考えたいものです。
――元国税調査官という立場から見て気をつけるべきことはあるか。
大村:年金でいえば、加給年金ですね。いってもれば家族手当のようなものです。20年以上厚生年金に加入しており、かつ奥さんの厚生年金加入歴が20年未満で、年収850万円、または所得665万5000円以下という条件を満たすと年間で約39万円が加算されます。
奥さんが5歳年下ならば約195万円がプラスされます。しかし、申請忘れがとても多いのです。税務署というところは、納税者に得になる制度を積極的には教えてくれません。絶対に忘れずに申請しましょう。