2019年6月に投稿された家族写真(オレナ夫人のインスタグラムより)
米CNNは3月5日、ロシアの暗殺部隊1000人がウクライナに送り込まれる予定と報じた。これまでにゼレンスキー氏暗殺が少なくとも3回計画されたが、未遂に終わったとの報道もある。
ロシアによる侵攻が始まった2月24日、ゼレンスキー氏はビデオによる声明で「1番目の標的は自分で、2番目は自分の家族だ」と語っている。これに対しオレナ夫人は同日、自身のインスタグラムに次のようなメッセージを投稿した。
《パニックにならない。涙も流さない。落ち着いて堂々と振る舞う。子供たちが私を見ている。子供に寄り添い、夫やウクライナの人々のそばにいよう》
暗殺リストに名前があがりながらも、オレナ夫人はすぐにキエフに留まることを表明したのだ。現在も2人の子供と共に、首都に居続けているとされる。
「もともと夫の会社でコメディードラマの脚本を書いていた裏方の彼女が、表舞台で人々を先導する立場に変われたのは、同性の後押しがあったからです。ウクライナの人口は女性の方が多く、ウクライナ軍でも15.6%を女性が占めています。
力強くも優しさにあふれるメッセージを国内外に発信し続けるオレナ夫人に、多くの女性が心を動かされています。そんな人々の反応を糧に、日に日に勇敢なファーストレディーとして成長していっているように思います」(前出・国際ジャーナリスト)
夫同様、SNSを通じて頻繁にメッセージを発信し続けることで世界中から注目を浴びている。
オレナ夫人は3月8日、自身のSNS上に各国メディアに宛てて『私が証言する』とのタイトルで、公開書簡を投稿した。そのなかで、ロシア軍が子供を含む民間人の「大量殺人」を行っていると強く非難し、「核戦争を開始すると脅すプーチンをわれわれが止めなければ、世界でわれわれの誰にとっても安全な場所はない」と強く主張した。
国民を勇気づける力強いメッセージを発信する一方で、命を落とした国民への追悼も忘れない。時には亡くなった子供たちの名前をあげ、ロシアによる侵攻の残酷さを世界に訴えかけている。劣悪な環境下で耐え忍ぶ地下シェルターでの暮らしや、けがを負っても治療が受けられない医療現場の実態などもリアルに伝え続けている。
かつて「ひっそりと暮らしたい」と願ったオレナ夫人。夫の大統領就任を機に表に出ることを決意したとはいえ、“こんな形”で注目を浴びるのは不本意だろう。しかしいまは、彼女にしか伝えられないことがある。誰もが平和に暮らせるその日のために、オレナ夫人は民衆を導く自由の女神として夫と共に最前線に立ち続ける。
※女性セブン2022年3月31日号