バイデン氏はどう動くのか(写真/AFP=時事)

バイデン氏はどう動くのか(写真/AFP=時事)

 イラクやシリアでも、隣国の主権を踏みにじり、自国民に化学兵器を使う指導者が現われたが、超大国アメリカは時に武力を行使して国際秩序を守ってきた。だが、「バイデンのアメリカ」は、民主主義の守護神としての役割を果たそうとしていない。

 アメリカがウクライナに軍事介入すれば、第三次世界大戦となり、核戦争の恐れすらあると慎重な姿勢を崩さない。だが、それゆえ、プーチンは、そんなバイデンの弱腰につけ込み、いまも侵攻を続けている。キューバ危機に際して、ケネディ大統領は、核のボタンに手をかけることも辞さないと決意を固めたことでクレムリンの譲歩を引き出し米ソ核戦争は回避された。これが核の時代の究極のジレンマなのである。

 プーチンの戦争を止めるには、主要国の調停が必要だ。キーワードは「中立化」である。ウクライナは、いまはNATOに加盟しておらず、妥協の余地はあるはずだ。一方のロシア側もウクライナのNATO加盟を断念するよう求めている。問題は非武装化の主張だが、戦局が不利になれば、プーチンも態度を軟化させる可能性があるはずだ。

 日本も各国と連携して調停に動くべきだろう。中国が調停に成功すれば、習近平はノーベル賞を受けて、台湾の併合に乗り出すだろう。それは日本にとっては最悪のシナリオとなる。

※週刊ポスト2022年4月1日号

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